ジネッタ・カーズ

ジネッタ・カーズ：英国が生んだスポーツカーとモータースポーツの歴史

ジネッタ・カーズは、イギリスを代表するスポーツカーおよびレーシングカーメーカーです。1958年、ウォークレット兄弟によってサフォーク州で設立されました。当初は戦前型ウーズレーをベースとしたG1を開発しましたが、市販には至りませんでした。その後、拠点を移転しながら、地道な開発を続けました。

ウォークレット兄弟時代：創業から売却まで

創業期には、フォードのコンポーネントを流用したキットカー、G2を発売。アルミボディとチューブラーフレームを採用したこのモデルは約100台製造されました。続くG3ではグラスファイバーボディとGTスタイルのデザインを採用し、G4ではFRPボディのコンバーチブルを登場させました。G4は、軽量な車体に高性能エンジンを搭載したことで高い人気を博し、シリーズを重ねながら500台以上を生産。ジネッタの代表作となりました。G10、G11、G12といったレーシングカーも開発されましたが、生産台数は限定的でした。これらのモデルは、フォードやトライアンフ、MGといった英国車のエンジンや部品を巧みに使用することで、独自のスポーツカーを作り上げていきました。

ウォークレット兄弟は長年ジネッタを経営しましたが、1989年に事業を売却。その後、ジネッタは経営悪化に陥りました。

ローレンス・トムリンソン時代：復活と新たな挑戦

2005年、介護事業などで成功した実業家、ローレンス・トムリンソン率いるLNTグループがジネッタを買収。同社はモータースポーツに軸足を置いた事業戦略へと転換します。

ウェスト・ヨークシャー州リーズへの工場移転、年間200台生産体制の構築、そしてG50の開発は、この新たな時代の幕開けを告げました。G50はグループGT4で成功を収め、ジネッタのベストセラーモデルとなりました。また、トムリンソンはスポーツカーメーカー、ファービオを買収し、そのモデルを改良してG60を発売しました。

ジネッタはル・マン24時間レースへの参戦や、LMP3マシンの開発など、積極的にモータースポーツ活動に参入。2015年にはACO（フランス西部自動車クラブ）からLMP3コンストラクターとして承認されました。

主要モデル紹介：キットカーからスーパーカーまで

ジネッタの歴史を彩る数々のモデルは、技術革新と進化の軌跡を示しています。初期のキットカーから、現代の高度な技術が投入されたスーパーカーまで、その多様性はジネッタの挑戦の歴史を物語っています。ここでは、いくつか代表的なモデルを紹介します。

G2・G3: ジネッタの礎を築いた初期モデル。フォード製コンポーネントを流用し、アルミやグラスファイバーボディを採用しました。
G4: ジネッタで最も成功したモデル。軽量設計と高性能エンジンにより、高い走行性能を誇りました。シリーズを重ね、クーペモデルも登場しました。
G10・G11・G12: レーシングカーとして開発され、高度な技術を投入。G12は、クラス優勝を果たすなど、高い戦闘力を誇りました。
G15・G21: 市販車として開発されたモデル。ヒルマンインプやサンビームのエンジンを搭載していました。
G50: 50周年記念として開発。グループGT4で活躍し、ジネッタのベストセラーに。
G60: ファービオGTSをベースに改良されたモデル。3.7リットルV6エンジンを搭載。
G40: ジュニア選手権とチャレンジシリーズ用に開発されたレースカー。ロードカーバージョンであるG40Rも登場しました。
G55: GT4とGT3仕様がラインナップ。高性能エンジンとエアロダイナミクスに優れたデザインが特徴です。
* アクーラ: 2019年発表のスーパーカー。575hpの自然吸気V8エンジンと軽量設計が特徴。限定20台生産予定です。

モータースポーツ活動：レースでの活躍

ジネッタは、自社開発のレーシングカーを用いたワンメイクレースシリーズ、ミシュラン・ジネッタ・GT4スーパーカップを開催。英国GT選手権やBTCCなどのサポートレースとして開催され、多くのドライバーを育成しています。また、ル・マン・シリーズやFIA世界耐久選手権など、国際的なレースにも積極的に参戦しています。LMPクラスでは、ジネッタ・ザイテックGZ09Sやジネッタ・ジュノ P3-15といったマシンで優勝を収め、その実力を示しました。

まとめ：伝統と革新を融合

ジネッタ・カーズは、長年にわたり英国の自動車文化を牽引するメーカーとして、その歴史を刻んできました。初期のキットカーから現代のスーパーカー、そして数々のレーシングカーまで、ジネッタは常に技術革新と挑戦を続け、その魅力的なスポーツカーで世界中のモータースポーツファンを魅了し続けています。これからも、ジネッタの活躍から目が離せません。

もう一度検索