ジミー・ジャスティス

ジミー・ジャスティス：イギリスのソウルフル・シンガー

ジミー・ジャスティス（Jimmy Justice、1939年12月15日 - ）は、イギリス出身の歌手であり、その円熟味のある歌声で人々を魅了しました。彼はしばしば「イギリスのベン・E・キング」と称され、1960年代初頭の音楽シーンで独自の存在感を示しました。

生い立ちと音楽への目覚め

1939年、ジミー・ジャスティスはロンドンのバーモンジーで生まれ、サリー州カーシャルトンで育ちました。幼少期からナット・キング・コールやダイナ・ワシントンといった黒人アーティストの音楽に触れ、深い興味を持つようになりました。10代後半には、セントルシア出身の歌手、エミル・フォードと親交を深め、彼が率いるバックバンド、ザ・チェックメイツのギグに参加するなど、音楽活動の基礎を築きました。

デビューと初期の成功

1959年、ジミー・ジャスティスはエミル・フォードも契約していたパイ・レコードと契約を結び、翌1960年に「アイ・アンダースタンド」でシングルデビューを果たしました。この曲は、スコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」をアレンジしたものでした。その後、彼は後にザ・サーチャーズのプロデュースを手がけるトニー・ハッチと出会い、彼のプロデュースによる2枚目のシングル「ホエン・ラヴ・ハズ・レフト・ユー」をリリースしました。

しかし、これらの初期のシングルはイギリス国内でのチャートインを果たすことができず、彼は一時スウェーデンで活動しました。4枚目のシングルとしてリリースしたドリフターズのカバー「恋人がほほえむ時 (When my little girl is smiling)」が、ついに全英チャートの9位にランクインするヒットとなりました。続く「エイント・ザット・ファニー」も8位を記録し、彼はスウェーデンとイギリスを行き来する生活を送りました。

低迷と音楽性の変化

1962年の「スパニッシュ・ハーレム」以降、ジミー・ジャスティスはイギリス国内でのヒットに恵まれなくなりました。彼はスカンジナビアやドイツなど、ヨーロッパ圏での活動を続けました。1963年には、自身の楽曲「サン・ラケルの割れた鐘」でユーロビジョン・ソング・コンテストのイギリス代表にエントリーしましたが、ロニー・キャロルの「セイ・ワンダフル・シングス」に敗れました。

1964年、ジミー・ジャスティスはザ・ビートルズのスウェーデン公演に前座として出演する機会を得ましたが、時代はすでにビートルズやローリング・ストーンズといったビート・グループが席巻していました。ポップ・シンガーとしてプロデュースされていた彼の音楽性は、時代の流れと合わなくなっていました。結局、パイ・レコードではヒット曲を生み出すことができず、彼は同社を離れることになりました。その後、別のレコード会社に移籍しましたが、目立った成功を収めることはできず、音楽界から引退しました。

音楽スタイルと評価

ジミー・ジャスティスは、ジャズやポップスのカバーを中心に、ソウルフルで情感豊かな歌声を披露しました。友人でもあったエミル・フォードと比較して、よりポップス寄りの音楽性を持っていました。また、「James Little」という名義で自作曲も発表していました。彼の音楽は、1960年代初頭のイギリスの音楽シーンにおいて、独自の地位を築きました。

参考文献

WHEN MY LITTLE GIRL IS SMILING / THE BEST OF JIMMY JUSTICE NEX CD 241
『ザ・ビートルズ 人物大事典』日経BPムック 大人のロック!編、2013年。ISBN 978-4-8222-7557-0

関連項目

エミル・フォード
ラストダンスは私に
* オールド・ラング・サイン

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