ジメチルジオキシラン

ジメチルジオキシランの概要

ジメチルジオキシラン（Dimethyldioxirane、略称DDO）は、有機化合物の一種で、主に有機合成において優れた酸化剤として使用されます。ジメチルジオキシランはアセトン分子のC=O二重結合に酸素が付加することで形成される −C−O−O− の3員環（ジオキシラン環）を持っています。これにより、DDOは多様な化合物に酸素原子を迅速に供給する能力があります。

特徴

この化合物は酸素-酸素結合と3員環の構造を持つため、その不安定性が特徴です。しかし、反応後に生成されるアセトンは相対的に安定であるため、ジメチルジオキシランによる酸化反応は効率的に進行します。また、ジメチルジオキシランの基質選択性は高く、特定の反応において優れた結果をもたらします。

調製方法

ジメチルジオキシランは、アセトンと蒸留水を混合した溶媒に炭酸水素ナトリウムを加えた後に、低温下でオキソン（ペルオキシ一硫酸カリウムの商品名）を少しずつ加えることで調製されます。これにより得られた混合物から、冷却した受け器に減圧蒸留を行うと、ジメチルジオキシランを含む希薄アセトン溶液（濃度約70–90 mmol/L）が得られます。この不安定な化合物は、冷凍庫で保存され、使用時にはさらに希釈されます。

反応特性

ジメチルジオキシランは特にアルケンの炭素-炭素二重結合（C=C）を酸化し、エポキシドを生成する反応において知られています。その反応性は、mCPBAのような過酸に似ているものの、ジメチルジオキシランを用いる場合は反応後の副産物がアセトンであり、これが簡単に除去できるという利点があります。さらに、反応環境が中性であるため、酸に敏感な基質に対しても利用可能です。エポキシ化反応は、シン選択性を示し、求核的に作用する特性があるため、電子不足のアルケンとの反応がしやすいです。

ジメチルジオキシランは、分枝アルカンに対しても反応し、選択的に3級炭素を酸化して対応する3級アルコールを生成します。さらに、アミンやスルフィドなどの酸化にも使用され、DMDOは不活性なC-H結合の酸化も行うことができます。

さらなる応用

DDOはニトロ化合物のカルボニル化（ネフ反応）にも利用可能であり、このように幅広い反応性を持っています。また、メチル基の一つを他の置換基に置き換えたプロキラル誘導体の合成も行われており、不斉酸化への応用が模索されています。

このように、ジメチルジオキシランは有機化学の分野において重要な役割を果たしており、特にさまざまな酸化反応においてその価値を発揮しています。

もう一度検索