ジャガー・Cタイプ

ジャガーC-Type：伝説のレーシングカー

ジャガーC-Typeは、イギリスの自動車メーカー、ジャガーが1951年から1953年にかけて製造したスポーツカーです。その美しいデザインと卓越した性能は、モータースポーツ史に燦然と輝く輝きを放ち、ジャガーのブランドイメージを決定づける上で重要な役割を果たしました。

誕生の背景：XK120とル・マンへの挑戦

1948年に発表されたジャガーXK120は、その流麗なスタイルと高い性能、そして同クラスの競合車種よりも圧倒的に低い価格で大きな人気を博しました。この成功はジャガーのブランドイメージを大きく向上させました。しかし、ジャガーの会長であるウィリアム・ライオンズは、さらなるブランドイメージの向上を目指し、XK120をベースとしたレーシングカーでル・マン24時間レースへの挑戦を決意します。その挑戦の象徴として誕生したのが、ジャガーC-Typeです。

わずか6週間という短い開発期間を経て、1951年5月初旬に最初のC-Typeが完成。3台がサルト・サーキットまで自走で送り届けられ、その年のル・マン24時間レースに参戦しました。そして、C-Typeは見事に優勝。ジャガーにル・マン初優勝をもたらし、その名を世界に知らしめました。さらに、1953年のル・マン24時間レースでも優勝を果たし、ジャガーの成功を決定づける重要なモデルとなりました。

性能とメカニズム：洗練された技術

C-Typeの心臓部は、3,441ccの直列6気筒DOHC XKエンジン。クロード・ベイリーによるチューニングにより、最高出力は160hpから200hpに向上、圧縮比9.0の仕様では210hpを達成しました。トランスミッションは4速MT。シャシは、XK120のラダー式フレームから、より軽量で剛性の高いチューブラーフレームに変更されています。

サスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーンとトーションバー、リアはヘインズが考案した独自のシステムを採用。軽量化と空力性能の向上のため、ボディはアルミニウム製で、全長3,990mm、全幅1,640mm、全高980mmという低重心設計がなされています。ボディデザインは、ブリストル飛行機出身のマルコム・セイヤーが担当し、空力技術を駆使して滑らかなボディラインを実現しました。車両重量はわずか939kgと軽量化されています。

1952年と1953年モデル：改良と進化

1952年モデルでは、空力性能の更なる向上を目指してフロントを低く、テールを長くする改良が加えられました。しかし、小型化されたグリルが原因でオーバーヒートの問題が発生し、ル・マン24時間レースでは全車リタイヤという結果に終わりました。

この経験を活かし、1953年モデルではボディ形状を元に戻し、燃料キャップの変更や電装品の改良などにより54.5kgの軽量化を実現。さらに、ウェーバー製ツインチョークキャブレターの採用により最高出力を220hpに向上させました。そして、レーシングカーとしては画期的な、前輪ディスクブレーキも搭載されました。リアサスペンションにはパナールロッドが追加され、走行性能が向上しました。

生産台数と販売価格

C-Typeの総生産台数は53台。当時の価格は6,000ドルで、当時の標準的なジャガーXK120の約2倍という高価格でした。しかし、その高い性能と希少性から、多くの熱狂的なコレクターに支持されました。

まとめ：ジャガーC-Typeの遺産

ジャガーC-Typeは、単なるレーシングカーとしてだけでなく、ジャガーのブランドイメージを築き上げた象徴的な存在です。その美しいデザイン、革新的な技術、そしてル・マンでの輝かしい戦績は、現代においても多くの自動車ファンを魅了し続けています。C-Typeは、ジャガーの歴史、そしてモータースポーツの歴史に永遠に刻まれた、真の伝説的な名車といえるでしょう。

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