ジャクメル

ジャクメル：歴史と文化が息づくハイチの港町

ジャクメルは、ハイチ南東県に位置する都市で、1698年に建設されました。その名は、かつてこの地を治めていたタイノ族の言葉「ヤキメル（Yaquimel）」に由来します。2015年の推計では約19万人が暮らしており、19世紀の面影を色濃く残す街並みが特徴です。

繁栄の歴史

ジャクメルは、かつてコーヒー貿易で栄えた港町でした。ニューオーリンズ風の豪邸に住む富裕な商人たちが拠点を置き、フランスから輸入された鉄製の柱やバルコニーが建物を飾りました。現在、これらの建物は工芸品店として利用され、紙粘土の仮面や木彫りの動物などが販売されています。近年では、かつての葉巻やコーヒー産業の復興も進められています。

歴史的な出来事の舞台

ジャクメルは、ハイチの歴史において重要な役割を果たしてきました。

ナイフ戦争: 1799年、トゥーサン・ルヴェルチュールは、アンドレ・リゴーとの間で「ナイフ戦争」と呼ばれる戦いをジャクメルで行いました。1800年3月、ジャクメルは陥落し、戦争は終結しました。
ベネズエラの国旗: フランシスコ・デ・ミランダは、シモン・ボリバルの前にラテンアメリカの解放闘争を指導した人物です。彼はジャクメル近郊でベネズエラの最初の国旗を定め、1806年3月12日にコルベット艦リアンダー号の艦上で掲揚しました。この日は、現在もベネズエラで国旗の日として祝われています。
アンティル連合の模索: プエルトリコの独立運動家ラモン・エメテリオ・ベタンセスは、1870年にドミニカ共和国の反乱を支援するため、ジャクメルに一時滞在しました。当時のハイチ大統領ニサージュ・サジェは、ベタンセスの全アンティル連合の構想を支持し、彼の蜂起を支援しました。

観光地としての魅力

ジャクメルは、ハイチの中でも比較的治安が良く、首都の政治的な混乱から離れているため、観光地として人気を集めています。2004年からはジャクメル映画祭、2007年からはジャクメル音楽祭が開催され、多くの人々が訪れます。謝肉祭の時期には、近くの青い泉や砂浜も賑わいを見せます。

文化と芸術

ジャクメルは、文化と芸術の街でもあります。詩人・作家のルネ・ドゥペストルはジャクメルで生まれ、多くの作品でこの街を舞台に用いました。また、カナダ総督を務めたミカエル・ジャンも、幼少期をジャクメルで過ごしました。

メディア

ジャクメルには、多くのラジオ局やテレビ局が存在し、地域住民に情報を提供しています。

Radio Ambiance FM
Ambiance TV
Radio Anacaona
Radio TeleDiffusion Jacmelienne
Radio Tele-Express Continental
Radio Vibration Inter
Radio Jacmel Inter
Radio Détente
Radio Négritude

ジャクメルは、その歴史的な背景、美しい景観、そして豊かな文化により、訪れる人々を魅了し続けています。

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