ジャック・カーソン

ジャック・カーソン

ジャック・カーソン（Jack Carson, 1910年10月27日 - 1963年1月2日）は、カナダに生まれ、主にアメリカ合衆国で活動した俳優です。特に1940年代から1950年代にかけてのいわゆる「ハリウッド黄金期」において、多様な役柄を演じ分ける性格俳優として存在感を示しました。コメディリリーフからシリアスな役柄まで幅広くこなし、その親しみやすいキャラクターと確かな演技力で人気を博しました。

彼のキャリアは映画界に留まりませんでした。1940年代にはラジオ番組のコメディアンとして高い評価を受け、その人気は不動のものとなります。さらに1950年代以降はテレビの世界にも進出。自身のショー番組で司会を務めるなど多才ぶりを発揮する傍ら、『ボナンザ』や『トワイライト・ゾーン』といった当時の人気テレビドラマにもゲスト出演し、活動の場を広げました。

ジャック・カーソンの俳優としての特徴の一つに、意表を突かれた際の「二度見（ダブルテイク）」と呼ばれるコミカルなリアクション演技があります。この独特でユーモラスな表現は彼の代名詞となり、ファンからは愛情を込めて「二度見の王様（King of the Double-Take）」という異名で呼ばれるほどでした。映画、ラジオ、テレビと、異なるメディアで成功を収めた彼の功績は高く評価され、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームには、ラジオ分野とテレビ分野、それぞれに彼の名が刻まれた星が2つも存在します。

略歴

1910年10月27日、カナダのマニトバ州カーマンで生を受けたカーソンは、その後アメリカのウィスコンシン州ミルウォーキーで育ちました。学生時代にはカールトン・カレッジで演技のセンスを磨き、約190cm、100kgという恵まれた体格を活かして、デイヴ・ウィロックと組んだヴォードヴィルのコンビ「Willock and Carson」としてキャリアをスタートさせます。この舞台での経験が、後の彼のコメディ演技の基盤となりました。

1937年、カーソンはハリウッドに活動の場を移し、RKOとエキストラ契約を結びます。その後、1941年にはワーナー・ブラザースとの契約に至り、主要な作品に出演する機会を得るようになります。1940年代には、時に数週間にわたって周囲に行き先を告げずに姿を消すという奇行を見せることもありました。後に本人が明らかにしたところによれば、これはクライド・ビーティのサーカス一座の巡業に、厚いメイクで正体を隠した道化役者として加わっていたためだと言います。サーカスの観客が彼が有名な俳優であると気付くことはありませんでした。

私生活においては、生涯に4度の結婚を経験しています。

エリザベス・リンディ（Elizabeth Lindy, 1938-1939年）
ケイ・セント・ジャーメイン（Kay St. Germain, 1941-1950年） - 2子をもうける
ローラ・オールブラウ（Lola Albright, 1952-1958年）
サンドラ・ジョリー（Sandra Jolley, 1961-1963年） - 死別

また、2度目の結婚解消後、3度目の結婚までの間となる1950年から1951年にかけて、女優のドリス・デイと交際していた時期もありました。

ジャック・カーソンは、1963年1月2日、胃癌のためカリフォルニア州ロサンゼルス郊外のエンシノでその生涯を閉じました。奇しくも、同じ日に俳優のディック・パウエルも亡くなっています。多岐にわたる才能と個性的な演技で、ジャック・カーソンはハリウッドの歴史に確かな足跡を残しました。

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