ジャック・デンプシー (ミドル級)

"ノンパレル"ジャック・デンプシー：伝説のミドル級王者

"ノンパレル"ジャック・デンプシー（本名：ジョン・エドワード・ケリー）は、1862年12月15日にアイルランドで生まれ、1896年11月1日にその生涯を閉じた伝説的なプロボクサーです。彼は、その卓越した技術と強打で、近代ボクシングにおける初代世界ミドル級王者とされています。同時代の人気ボクサー、ヘビー級王者のジャック・デンプシー（本名：ウィリアム・ハリソン・デンプシー）とは異なり、彼は“本家”とも言える存在です。後世のヘビー級王者は、この偉大なミドル級王者の名にあやかってリングネームを“ジャック”と名乗ったほどでした。

比類なき強さとテクニック

ジャック・デンプシーは、当時としては類まれな強打と高度なテクニックを併せ持っていました。1884年、世界王者を自称していたカナダのジョージ・フルジェームスと対戦し、22回判定勝ちを収めました。この勝利を以て、多くの識者はデンプシーを初代世界ミドル級王者と認めています。さらに、1884年から1886年にかけてはライト級の王座も保持し、2度の防衛に成功。ライト級の初代王者として記録されることもあります。

激闘の防衛戦

デンプシーは、同時代の強豪を相手に4度の王座防衛を果たしました。特に4度目の防衛戦は、自称世界王者ジョージ・ラブランチェとの激戦でした。ラブランチェの繰り出したピボット・ブロー（身体を回転させて手の甲で打つ反則技に近いパンチ）によってKO寸前まで追い込まれましたが、デンプシー陣営が「ナックルを当てていないパンチは反則」と抗議。これが認められ、劇的な逆転勝利を収めました。このエピソードからも、当時のボクシングがいかにルールが曖昧で、激しいものであったかが伺えます。

王座陥落と引退

1891年1月14日、デンプシーは後の世界ヘビー級王者で三階級制覇を成し遂げるボブ・フィッシモンズと対戦し、13回KO負けを喫して王座から陥落しました。この敗戦は、彼のボクシングキャリアにおける大きな転換点となり、その後、引退へと向かいました。

通算戦績

デンプシーの通算戦績は、68戦48勝（25KO）3敗7引分け7無判定3無効という記録が残されています。この戦績からも、彼の卓越した実力と、数々の激戦を繰り広げたことがわかります。

参考文献・関連情報

“Jack "Nonpareil”. findagrave.com (英語)
世界ボクシング協会世界王者一覧
国際ボクシング名誉の殿堂博物館
ジャック・デンプシーの戦績 - BoxRec（英語）
* Jack "Nonpareil" Dempsey info at Find A Grave（英語）

"ノンパレル"ジャック・デンプシーは、その強さと技術だけでなく、数々のドラマチックなエピソードを通じて、ボクシング史に名を刻む伝説的な存在です。彼の名は、後世のボクサーたちに大きな影響を与え続け、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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