ジャック・ドロール

ジャック・ドロール：欧州統合の立役者

ジャック・リュシアン・ジャン・ドロール（Jacques Lucien Jean Delors）は、フランスを代表する政治家であり、経済学者です。1925年7月20日にパリで生まれ、2023年12月27日に98歳でその生涯を閉じました。彼は、フランス経済・財務大臣、そして欧州委員会委員長（1985年～1995年）として、ヨーロッパの統合に大きく貢献しました。

生い立ちと初期のキャリア

ドロールは、リセ・ヴォルテール、リセ・エミール・デュクロー、リセ・ブレーズ・パスカルといった名門校で学び、1950年にパリ大学法学部を卒業しました。政治経済学を専攻し、早くから経済や政治への関心を深めていきました。

1969年には、ジャック・シャバン＝デルマス首相の顧問に就任し、政治の世界でのキャリアをスタートさせます。その後、1974年に社会党に入党し、本格的に政治家としての道を歩み始めました。1979年には欧州議会議員に選出され、ヨーロッパの政治舞台へと進出しました。

経済・財政大臣として

1981年、フランソワ・ミッテラン大統領の下で、ドロールは経済・財政大臣に任命されます。1983年には、経済・財政・予算相として、フランスの経済政策を担う重責を担いました。蔵相時代には、伝統的な社会主義政策からの転換を図り、市場経済の容認を推進するなど、大胆な政策を打ち出しました。

欧州委員会委員長として

1984年7月、ピエール・モーロワ首相の辞任後、ドロールは社会党内でミッテランに次ぐ地位にあり、首相候補としての有力な存在でした。しかし、ミッテランはローラン・ファビウスを後継首相に指名し、ドロールは欧州委員会委員長に転身することになりました。

1985年、ドロールはヨーロッパ共同体の執行機関である欧州委員会委員長に就任します。在任中は、予算改革、欧州単一市場の導入の基礎を構築するなど、ヨーロッパの統合を強力に推進しました。特に、1993年1月1日に実施された欧州単一市場は、彼の功績として特筆されます。

その後

1995年のフランス大統領選挙では、社会党からドロールを推す声が上がりましたが、彼は出馬を辞退しました。その後は、EU改革を訴えるスピネッリ・グループなどで活動し、ヨーロッパの将来について積極的に発言を続けました。

2023年12月27日、ドロールはパリの自宅で98歳で亡くなりました。彼の死は、ヨーロッパ統合の歴史における大きな損失として、多くの人々に惜しまれています。

ジャック・ドロールは、その卓越したリーダーシップと先見性により、ヨーロッパの統合を大きく前進させた人物として、歴史に名を刻んでいます。

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