ジャック＝ジュリアン・ラビヤルディエール

ジャック＝ジュリアン・ラビヤルディエールの生涯と業績

ジャック＝ジュリアン・ラビヤルディエール（Jacques-Julien Houtou de La Billardière）は、1755年10月28日にフランスのアランソンで生まれた博物学者です。彼は主にオーストラリアにおける植物収集や研究に貢献した人物として知られています。彼の出生時の姓はHoutouでしたが、祖父が特権階級のような名を名乗るために家名をラビヤルディエールに変更しました。老年期には、自身の名前からHoutouを省き、ラビヤルディエールの名義で著作活動を行いました。

教育と経験

1772年、ラビヤルディエールはモンペリエ大学で医学を学びましたが、卒業後はランスの大学に移り、1779年に卒業を果たします。彼の博物学への傾倒は、パリで王立植物園に通い詰める中で始まりました。特に、著名な植物学者であるルイ・ギョーム・ルモニエの指導のもとで、多くの植物を収集する機会を得ました。

1783年から2年間イギリスに滞在し、その間に珍しい植物について学び、ジョゼフ・バンクスやジェームズ・エドワード・スミスなどの著名な植物学者と親交を深めました。フランスに戻った後、ラビヤルディエールはアルプス地方での植物採集を行い、さらなる知識を深めていきます。

近東と南太平洋の探検

1786年には、近東の植物研究を目的とした大旅を計画し、ルモニエの支援のもと、パリを離れました。マルセイユから海路でキプロスを経て、シリアのラタキアに上陸し、沿岸地域を調査しました。さらに、1888年にもクレタ島やコルシカ島を訪れるなど、その探求は続きました。これらの探検で収集した標本は1000種以上に及び、彼の著作『シリアの希少植物図（Icones plantarum Syriae rariorum）』において発表されました。

1791年、彼は南太平洋で行方不明となった探検家ラ・ペルーズ伯の捜索に参加するためにアントワーヌ・ブリュニー・ダントルカストー船に乗船しました。ダントルカストーはペルーズを見つけることはできなかったものの、彼の船は南西オーストラリア、タスマニア、ニュージーランド、そしてインドネシアに寄航しました。その間、ラビヤルディエールは多くの植物や動物の標本を集め、現地文化にも興味を示しました。

フランス革命が勃発した際、彼が収集した標本はイギリスによって押収される危機に直面しますが、ジョゼフ・バンクスの尽力により、彼は標本を取り戻すことに成功しました。1796年にフランスに帰国後、彼は自らの航海の記録である『Relation du Voyage à la Recherche de la Pérouse』を執筆し、フランス科学アカデミーの会員に選出されました。

学術的寄与と名声

1804年から1807年にかけて、オーストラリアの植物に関する著作『Novae Hollandiae Plantarum Specimen』を出版し、その業績は広く認められました。また、1816年にはスウェーデン科学アカデミーの外国人会員にも選ばれています。ラビヤルディエールが収集した標本は、現在はフィレンツェにある博物館に収蔵されています。彼の名は、オーストラリアのトベラ科植物「Billardiera」にも冠せられており、多くの植物の名称に彼の名前が残されています。

主な著作

• - Icones plantarum Syriae rariorum (1791-1812 Paris)
• - Novae Hollandiae plantarum specimen (1804-1806 Paris)
• - Relation du voyage à la recherche de La Pérouse (1800, 2巻)
• - Sertum Austro-Caledonicum (1824-25 Paris)

このように、ラビヤルディエールは多岐にわたる博物学者として知られ、その探求の精神と業績は現在も多くの人々に影響を与えています。

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