ジャパン (チェーンストア)

ジャパン：ディスカウントストアからディスカウント型ドラッグストアへ至る歴史

1980年、兵庫県伊丹市で創業したジャパンは、当初は地元密着型のディスカウントストアとしてスタートしました。その後、関西地方を中心に店舗網を拡大し、大阪府を拠点に、個性的な商品構成と低価格戦略で多くの顧客を獲得しました。特に、アジアの珍しい雑貨を取り扱うなど、他店との差別化を図っていたことも特徴の一つです。

ジャパンの特徴として、郊外型店舗の展開が挙げられます。都心部よりも郊外に多く店舗を構えることで、競合店との差別化を図り、独自の顧客層を開拓しました。また、店内では独自の音頭が流れ、独特の雰囲気を醸し出していました。外国人観光客への対応として英語放送を実施するなど、顧客サービスにも工夫が見られました。

創業者の桐間幹二氏をモデルにした「さわやか親父」人形は、店舗のシンボルとして親しまれ、看板にも桐間氏の似顔絵が描かれていました。その独特な雰囲気は、多くの常連客を惹きつけ、ジャパン独自のブランドイメージを形成する上で重要な役割を果たしました。

しかし、2000年代に入ると、経営環境の変化や競合の激化などに直面することになります。そうした中で、2004年にスギ薬局（現スギホールディングス）と業務提携し、2005年には同社の傘下に入りました。その後、2013年にスギ薬局に吸収合併され、ジャパンは会社としての歴史に幕を閉じました。

合併後、ジャパンの店舗は順次スギドラッグに転換されるか、閉鎖されました。関東地方に進出していた店舗も、すべて撤退することとなりました。

かつてのジャパン本社ビルは、広告代理店萬年社の旧本社ビルを買い取ったものでした。1階は店舗、2階以上を事務所として使用していましたが、スギホールディングス傘下となってからも大阪事務所として活用されていました。しかし、事務所移転後に店舗も閉店し、現在は解体されコインパーキングになっています。

ジャパンの消滅は、一つの時代の終わりを示す出来事でした。しかし、その個性的な店舗運営や、独自のブランドイメージは、今も多くの人の記憶に刻まれています。創業者の桐間氏の理念や、店舗で流れていたジャパン音頭、そして「さわやか親父」人形など、ジャパンならではの文化は、多くの顧客の心に深く刻み込まれ、今も語り継がれています。

また、漫才コンビ「どんきほ〜て」で活動していたきびのだんご氏が、一時ジャパンに勤務していたことも特筆すべき点です。きびのだんご氏は、桐間氏の娘と結婚していた時期があり、コンビ解散後芸能界を引退し、ジャパンで勤務していました。

ジャパンの歴史は、単なる企業の興亡史にとどまらず、時代の変化や消費者のニーズの変化を映し出す鏡と言えるでしょう。その独自の経営戦略や、個性的な店舗文化は、現代の流通業界を考える上で重要な示唆を与えてくれる貴重な事例となっています。

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