ジャンニ・モスコン

イタリア、トレント出身のプロ自転車競技選手、ジャンニ・モスコン（Gianni Moscon）は、1994年 4月20日に生まれました。ロードレースにおいて、特に個人タイムトライアルや起伏のあるクラシックレースで優れた能力を発揮し、輝かしい勝利や上位成績を収めています。しかし、その競技人生においては、度重なる規律違反やスポーツマンシップに反する行動が問題視され、度々物議を醸しています。

輝かしい戦績

モスコンは、プロキャリアを通じていくつかの notable な戦績を挙げています。特に初期のキャリアにおいては、その才能が国際的に認められました。

- 2016年: アークティック・レース・オブ・ノルウェーでは総合優勝を果たし、新人賞と区間1勝を獲得しました。また、セッティマーナ・インテルナツィオナーレ・ディ・コッピ・エ・バルタリでも総合3位に入っています。
- 2017年: イタリア国内選手権では、個人タイムトライアルで優勝、ロードレースでも5位と好成績を残しました。世界選手権ではチームタイムトライアルで3位、個人タイムトライアルで6位と、TTスペシャリストとしての能力を示しました。この年、主要なクラシックレースであるパリ〜ルーベで5位、ジロ・ディ・ロンバルディアで3位と、登坂力と石畳への適性も証明しています。
- 2018年: クリテリウム・デュ・ドフィネのチームタイムトライアル区間で勝利に貢献。さらに、コッパ・アゴストーニ、ジロ・ディ・トスカーナといったイタリア国内のワンデーレースで優勝。再びイタリア選手権個人タイムトライアルで優勝し、国内TTチャンプの座を守りました。年末にはツアー・オブ・広西で総合優勝、新人賞を獲得し、区間1勝も挙げています。
- 2019年: 世界選手権ロードレースで4位に入り、世界トップクラスの実力を見せつけました。
- 2021年: ツアー・オブ・ジ・アルプスで区間2勝、グラン・プレミオ・ディ・ルガーノで優勝するなど、再び勝利を挙げています。

度重なる問題行動

モスコンのキャリアは、その才能と共に、繰り返される問題行動によっても記憶されています。彼は競技中の重大な反則行為から、倫理的な問題を含む行動まで、複数回にわたり批判の対象となっています。

人種差別発言による出場停止

2017年のツール・ド・ロマンディ期間中、モスコンはアフリカ系フランス人の選手に対して人種差別的な発言を行ったとして、所属チームであるチーム・スカイ（当時）から6週間の出場停止処分を受けました。チームは声明を発表し、このような行動を厳しく非難するとともに、再発した場合は契約を解除する可能性を示唆するなど、重い処分を下しました。

不正な牽引による失格

2017年のUCI世界選手権男子ロードレースにイタリア代表として出場した際にも問題を起こしました。レース終盤に落車に見舞われた後、集団に復帰したモスコンのスピードがあまりに速かったため、レース後にビデオ検証が行われました。その結果、チームカーによる過度な牽引があったことが確認され、国際自転車競技連合（UCI）によって失格処分が言い渡されました。過去には2015年のブエルタ・ア・エスパーニャでヴィンチェンツォ・ニバリが同様の理由で失格となるなど、チームカーによる不正なアシストは厳しく禁じられています。

暴力行為によるツール・ド・フランス失格

2018年のツール・ド・フランス第15ステージでは、レース中にフランス人選手であるエリー・ジェベールに対し、明確な暴行（殴打行為）を働きました。この行為は大会主催者によって確認され、モスコンはその場でツール・ド・フランスからの追放処分を受けました。さらに、国際自転車競技連合（UCI）からも5週間の資格停止処分が科され、その暴力的な行動に対して厳しい罰が下されました。

自転車投擲による失格

2020年のクールネ〜ブリュッセル〜クールネにおいても、モスコンは問題行動を起こしました。レース中に集団落車に巻き込まれた際、激しい怒りを示し、自身と同様に落車した別の選手（イェンス・デビュシェール）に対し、手にしていたロードバイクを投げつけました。この危険な行為を受けて、大会側はレース中にモスコンに対して失格処分を言い渡しました。失格の裁定に不満を露わにしたモスコンは、その場で自身のゼッケンをむしり取って投げ捨てるという行為も見せました。なお、モスコンが自転車を投げつけた選手は、落車を誘発したわけではなく、モスコンと同様に巻き込まれただけでした。

これらの問題行動は、彼のレース結果に影響を与えただけでなく、選手としての評判にも大きな影を落としています。類まれな才能を持ちながらも、感情のコントロールやスポーツマンシップに課題があることを示唆しており、彼のキャリアを語る上で避けては通れない側面となっています。

まとめ

ジャンニ・モスコンは、個人タイムトライアルやクラシックレースで勝利を収める確かな実力を持つイタリアの有力選手です。しかし、人種差別発言、不正行為、暴力、危険行為といった規律違反を繰り返し、度々出場停止処分を受けてきました。その才能と問題行動という二面性を持つ選手として、今後のキャリアにおいてもその言動が注視されるでしょう。

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