ジャンヌの扇

『ジャンヌの扇』（L'éventail de Jeanne）は、1927年にフランスで制作された、子供たちのための愛らしいバレエ作品です。このバレエは、パリの芸術家たちの支援者であり、バレエ学校の経営者であったジャンヌ・デュボストに捧げられました。

1927年の春、ジャンヌ・デュボストは、友人である10人の作曲家たちに、生徒たちのためにバレエ音楽を作曲するように依頼しました。このユニークな企画によって生まれたのが『ジャンヌの扇』です。バレエは1927年6月16日に、パリのデュボストのサロンで初演されました。初演では、モーリス・ラヴェルがピアノ編曲版を演奏し、イヴォンヌ・フランクとアリス・ブルガが振付を担当しました。舞台には鏡が用いられ、子供たちは妖精の衣装を身にまとい、夢のような世界が繰り広げられました。

その後、『ジャンヌの扇』は一般公開され、1929年3月4日にオペラ座で上演されました。この公演では、当時10歳であったタマーラ・トゥマーノワが主演を務め、観客を魅了しました。

『ジャンヌの扇』は、モーリス・ラヴェルの『ファンファーレ』やフランシス・プーランクの『パストゥレル』など、魅力的な楽曲を多く含んでいます。これらの楽曲は、抜粋されて録音もされましたが、全曲が録音されたのは1984年になってからでした。ジェフリー・サイモン指揮、フィルハーモニア管弦楽団による録音は、この作品の全貌を初めて明らかにした貴重な記録となりました。

『ジャンヌの扇』の構成は以下の通りです。

モーリス・ラヴェル『ファンファーレ』
ピエール＝オクターヴ・フェルー『マーチ』
ジャック・イベール『ワルツ』
ロラン＝マニュエル『カナリー』
マルセル・ドラノワ『ブーレー』
アルベール・ルーセル『サラバンド』
ダリウス・ミヨー『ポルカ』
フランシス・プーランク『パストゥレル』
ジョルジュ・オーリック『ロンド』
フローラン・シュミット『フィナーレ（ケルメス・ワルツ）』

『ジャンヌの扇』は、子供たちのためのバレエ作品でありながら、その音楽は非常に多彩で、各作曲家の個性が際立っています。この作品は、バレエ音楽の魅力を幅広く伝えるとともに、子供たちの豊かな感性を育むための貴重な遺産と言えるでしょう。

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