アルベール・ルーセル

アルベール・シャルル・ポール・マリ・ルーセル（1869年4月5日 - 1937年8月23日）は、フランスの作曲家です。印象主義音楽の影響を受けつつも、新古典主義へと作風を変化させ、モーリス・ラヴェルと共に、クロード・ドビュッシー亡き後のフランス楽壇を代表する存在となりました。

生涯

ルーセルは幼少期から算数と音楽に興味を持ち、海軍士官を目指していました。一方で、ストラスブール音楽院で作曲を学び始め、ジュリアン・コズルに師事しています。1889年から1890年にかけてフリゲート艦イフィジェニー号に乗り、インドシナ近海で勤務した経験は、彼の作曲家としての発展に大きな影響を与えました。この航海で触れた異国の文化や風景は、その後の作品に異国情緒と独特のリズム感をもたらす原点となりました。

1894年に海軍を退役後、パリのスコラ・カントルムで本格的に音楽を学び始め、ヴァンサン・ダンディらに師事しました。学業と並行して教鞭もとり、エリック・サティやエドガー・ヴァレーズなど、著名な音楽家を育成しました。第一次世界大戦中は、西部戦線で傷痍兵輸送車の運転手として従軍し、戦後はノルマンディーに移り、作曲活動に専念しました。

1929年から亡くなる1937年まで、パリ17区のガブリエル・フォーレ広場に居住し、その後、ヴァランジュヴィル＝シュル＝メールの教会墓地に埋葬されました。

作品の特徴

ルーセルは、古典主義的な気質を持ちながらも、初期には印象主義音楽の影響を受けました。しかし、次第に独自のスタイルを確立し、形式を重視した構成と、強烈なリズム感が特徴的な作風を築きました。同時代のドビュッシーやラヴェル、サティ、ストラヴィンスキーといった作曲家と比較すると、調性に対する明確なこだわりが見られます。また、ジャズにも興味を示し、『夜のジャズ』という歌曲も作曲しています。

主要作品

舞台音楽
オペラ＝バレエ『パドマーヴァティ』作品18
バレエ『くもの饗宴』作品17
バレエ『バッカスとアリアーヌ』作品43
バレエ『エネアス』作品54

管弦楽曲
交響曲第1番 ニ短調『森の詩』作品7
交響曲第2番 変ロ長調 作品23
交響曲第3番 ト短調 作品42
交響曲第4番 イ長調 作品53
管弦楽組曲 ヘ長調 作品33
シンフォニエッタ ニ短調 作品52
ピアノ協奏曲 ト長調 作品36
コンチェルティーノ ハ長調 作品57 （チェロと管弦楽のための作品）
詩篇第80番 作品37 （管弦楽と混声合唱のための作品）

室内楽曲
セレナード ハ長調 作品30
弦楽四重奏曲 ニ長調 作品45
弦楽三重奏曲 イ短調 作品58
フルート、ヴィオラとチェロのための三重奏曲 ヘ長調 作品40
ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調 作品28
フルートを吹く人たち 作品27

ピアノ独奏曲
3つの小品 作品49
前奏曲とフーガ 作品46
ソナチネ 作品16
ミューズたちのもてなし 作品
組曲 嬰ヘ長調 作品14

その他の独奏曲
セゴビア 作品29（ギターのための作品）
即興曲 作品21（ペダル式ハープのための作品）

ルーセルの作品は、その独特なリズム感と構成の美しさで、今日においても多くの人々に愛されています。

もう一度検索