ジャン・デヴィリアス

1981年 2月24日に南アフリカ共和国で生まれたジャン・デヴィリアスは、同国を代表する元ラグビーユニオン選手です。主にセンターとして活躍し、強靭なディフェンスと決定力のあるアタックでスプリングボクスの中心選手として長く貢献しました。身長190cm、体重103kgという恵まれた体格を誇ります。

デヴィリアスのキャリアは2001年に国内強豪のウェスタン・プロヴィンスとの契約から本格的に始まりました。翌2002年には、セブンズ南アフリカ代表「ブリッツボッカ」の一員としてマンチェスターで開催されたコモンウェルスゲームズに出場し、銅メダル獲得に貢献しています。同年11月、マルセイユで行われたフランス代表戦で念願の15人制代表デビューを果たしますが、試合開始直後に膝の重傷を負い、無念の負傷退場となりました。この負傷は彼のキャリアに長く影を落とし、以降、何度も膝の手術を受けることになります。

度重なる怪我を乗り越え、2004年に代表に復帰すると、当初はウィングとして出場しました。この年のトライネイションズ（現ザ・ラグビーチャンピオンシップ）では全4試合に出場し、3トライを記録。ウェスタン・プロヴィンス時代のチームメイトであるモーリス・ジュベールと共にトライ王に輝き、スプリングボクスの優勝に大きく貢献しました。2005年からは、本来のポジションであるインサイドセンターでの出場機会が増え、スーパーラグビーに参加するストーマーズでもプレーを開始します。

2007年には、フランスで開催されたラグビーワールドカップの南アフリカ代表スコッドに選出されます。初のワールドカップ出場に意欲を燃やしていましたが、プールステージ初戦のサモア代表戦で再び怪我に見舞われ、前半途中で退場。チームはワールドカップ優勝という快挙を成し遂げましたが、デヴィリアスの大会出場はわずかこの1試合に留まりました。

2009年、デヴィリアスは新たな挑戦を求め、アイルランドのプロチームであるマンスターへ1年契約で移籍します。マンスターではマグナーズリーグ（現プロ14）やハイネケンカップなどで公式戦23試合に出場し、8トライを挙げる活躍を見せました。同年、スプリングボクスの一員としてもトライネイションズ優勝に貢献し、オールブラックス戦で代表50キャップを達成しています。

マンスターでの成功を経て、2010年にはストーマーズに復帰しました。この頃、代表ではヘッドコーチの戦術的な判断からシーズン序盤にウィングで起用されることもありました。国内ではストーマーズの一員としてスーパーラグビーの決勝に進出し（ブルズに敗戦）、またウェスタン・プロヴィンスとしてカリーカップの決勝にも出場しています（ナタール・シャークスに敗戦）。

2011年のワールドカップにも出場しましたが、初戦のウェールズ代表戦でまたしても負傷により早期退場。しかし、途中出場から復帰を果たし、自己最多となるワールドカップ3試合に出場しました。

彼のリーダーシップが認められたのは2012年のことです。ハイネケ・メイヤーがスプリングボクスのヘッドコーチに就任すると、デヴィリアスは第54代キャプテンに指名されました。2015年までの4年間、主将としてチームを牽引し、そのキャプテンとしての出場試合数は37試合に達し、伝説的なフッカー、ジョン・スミットに次ぐスプリングボクス史上歴代2位の記録となっています。

キャプテンとして臨んだ2015年ラグビーワールドカップイングランド大会では、初戦で日本代表に歴史的な敗北を喫するという衝撃的な出来事を経験します。さらに、続くサモア代表戦で顎を骨折し、無念にも再びワールドカップからの途中離脱を余儀なくされました。この怪我が、長きにわたる彼の代表キャリアの終焉を意味することとなりました。大会終了後、イングランドのレスター・タイガースに加入しましたが、怪我の影響もありわずか2試合の出場に留まり、クラブを去ることになりました。

ジャン・デヴィリアスは、そのキャリアを通じて数多くの怪我に悩まされながらも、不屈の精神で立ち上がり続けた選手です。強靭なセンターとしてのプレーはもちろん、キャプテンとしてチームをまとめ上げたリーダーシップは、南アフリカラグビーの歴史において深く記憶されています。

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