ジャン＝シャルル・ド・フォンブリュヌ

ジャン＝シャルル・ド・フォンブリュヌ：ノストラダムス予言解釈で名を馳せた作家

ジャン＝シャルル・ド・フォンブリュヌ（Jean-Charles de Fontbrune, 1935年10月29日 - 2010年12月7日）は、フランスの作家であり、特に16世紀の占星術師ノストラダムスの『予言集』に関する解釈で国際的な注目を集めました。彼の著書『歴史家にして予言者ノストラダムス』（1980年）は、ノストラダムスを信奉する立場から書かれ、世界的なベストセラーとなりました。

生涯と背景

フォンブリュヌは1935年に、医師マックス・ド・フォンブリュヌの息子として生まれました。父マックスもまた、ノストラダムスの研究家であり、『予言集』の解釈書を出版していました。マックスは反ドイツ的な解釈を行い、それがヴィシー政権によって発禁処分を受けるなどの出来事もありましたが、レジスタンスによって地下出版されるなど、政治的な影響力も持ちました。

ジャン＝シャルルは、父の研究を土台としつつも、独自の解釈を加えました。製薬会社での勤務の傍ら、1963年以降、ノストラダムスの予言解釈を続け、その成果を1980年に『歴史家にして予言者ノストラダムス』として発表しました。

『歴史家にして予言者ノストラダムス』

この著書は、過去の出来事と未来の予測をノストラダムスの詩篇と結びつけて解釈するものでした。フォンブリュヌは、サン・バルテルミーの虐殺、フランス革命、世界大戦など、歴史上の重要な出来事がノストラダムスによって予言されていたと主張しました。未来のシナリオとしては、1983年に第三次世界大戦が勃発し、パリが壊滅するといった衝撃的な内容が描かれていました。また、1999年には反キリストが現れ、新たな大戦が始まるとも予測しました。

反響と評価

当初、この本は大きな話題にはなりませんでしたが、1981年に入り、フランソワ・ミッテラン政権の成立やヨハネ・パウロ2世暗殺未遂事件を的中させたとして注目を集めました。メディアでも大きく取り上げられ、フランス国内で70万部を売り上げる大ベストセラーとなりました。しかし、その内容は多くの批判も浴びました。特に、1983年の第三次世界大戦が起こらなかったことや、解釈の恣意性が指摘されました。社会党のシンボルマークをバラと解釈するなど、根拠に乏しい解釈もありました。

フォンブリュヌの解釈は、信奉者の間でも評価が分かれました。手厳しく批判する者もいれば、一定の評価を与える者もいました。また、歴史学者や仏文学者などの専門家からは、学術的な根拠がないとして否定的な評価を受けることがほとんどでした。

その他の著作と晩年

フォンブリュヌは、『歴史家にして予言者ノストラダムス』の続編や、聖マラキの予言に関する著書など、多くの予言関連の書籍を出版しました。アメリカ同時多発テロ事件や世界金融危機などの国際情勢の変化に合わせて、ノストラダムスの予言解釈を修正し、精力的に執筆活動を行いました。

2010年12月7日、フォンブリュヌは脳腫瘍のため75歳で亡くなりました。彼の死後も、その著書は読み続けられ、ノストラダムス研究に大きな影響を与え続けています。

結論

ジャン＝シャルル・ド・フォンブリュヌは、ノストラダムスの予言を独自の視点から解釈し、多くの人々に影響を与えた作家でした。彼の解釈は賛否両論を巻き起こしましたが、その著書は世界中で読まれ、ノストラダムス研究の一つの潮流を形成しました。彼の業績は、単なる予言の解釈にとどまらず、社会現象としても注目されるべきでしょう。

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