ジャン＝バティスト・ド・ラ・サール

ジャン＝バティスト・ド・ラ・サールの生涯と業績

生い立ちと教育

ジャン＝バティスト・ド・ラ・サール（1651年4月30日 - 1719年4月7日）は、フランスの宗教家であり教育者です。彼はパリ近郊のサン・シュルピス教会の神学校やソルボンヌ大学を卒業後、司祭としての道を歩み始めました。その後、彼は教育の必要性を強く感じ、平民の子供たちに質の高い教育を提供するための活動に尽力しました。

教育方法の革新

ラ・サールは、当時の教育システムが上流階級の子女に限られていることに異を唱え、平民の子供たちを対象にした教育を行いました。この彼の考え方は、単に知識を伝達するのではなく、それぞれの子供たちに合わせたカリキュラムを組むというものでした。特に、教師による体罰を禁止し、日常用語での教育を推進するなど、現代教育の先駆的なアプローチを採用しました。

ラ・サール会の創立

1684年、彼は12人の教師と共に、青少年の教育を目的とした「ラ・サール修道会」を設立しました。この組織は、当時の厳しい社会情勢の中で、教育の普及に大いに貢献しました。また、1685年には世界初の師範学校を設立し、教育者の育成にも力を注ぎました。

迫害と苦悩

教育活動を進める中で、ラ・サールは多くの迫害に遭いました。特に、貴族出身の聖職者である彼が平民の子供たちに教育を施すことは、当時の教会や社会からの反発を招きました。家族との関係も悪化し、最終的にはパリを離れなければならない事態に追い込まれました。その後、教育活動を続ける中で、彼は司法的にも不利益を被り、最終的には司祭職を剥奪されるなどの不名誉な扱いを受けました。

死後の評価

ラ・サールは1719年にこの世を去りましたが、彼の功績は死後、徐々に評価され始めました。19世紀には教会からも認められ、1888年には「福者」に、1900年には「聖人」として列せられました。また、1950年には彼がすべての教育者の守護聖人として宣言されることとなりました。これにより、彼の思想や教育理念は、今なお多くの教育者に影響を与え続けています。

ラ・サール会の活動と日本における広がり

ラ・サールの影響を受けた「ラ・サール会」は、現在、世界中で1,081校を運営し、約6000人の修道士が教育活動に従事しています。

日本においても、ラ・サール会の影響は根強く、函館ラ・サール学園、ラ・サール学園、仙台ラ・サール・ホームなどがその活動の拠点となっています。特に、1932年にカナダから来日した修道士たちによって、日本における教育活動が始まりました。その後も、ラ・サール高等学校や中学校の設立など、地域社会における教育への貢献は続いています。

まとめ

ジャン＝バティスト・ド・ラ・サールは、教育の普及と貧しい子供たちへの支援を通じて、現代の義務教育の礎を築いた偉大な教育者であり、彼の理念は時代を超えて多くの人々に影響を与え続けています。彼の生涯は、教育の普及に向けた不屈の闘志の象徴であり、今もなお多くの教育者にとっての道しるべとなっています。

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