ジャン4世 (ブルターニュ公)

ジャン4世・ド・ブルターニュ：激動の時代を生き抜いたブルターニュ公

ジャン4世・ド・ブルターニュ（1339年 - 1399年）は、百年戦争の時代、ブルターニュ公としてその公国を統治しました。「ジャン征服公」や「ジャン勇敢公」とも呼ばれ、その生涯は戦いと政治的な駆け引きに彩られています。

ブルターニュ継承戦争

父ジャン・ド・モンフォールの死後、ジャン4世はわずか6歳でリッチモンド伯とモンフォール伯の地位を継承しました。しかし、ブルターニュ公位をめぐり、シャティヨン家のシャルル・ド・ブロワとの間でブルターニュ継承戦争が勃発。幼いジャン4世を支えたのは、母ジャンヌ・ド・フランドルの強い意志でした。

1364年、オーレの戦いにおいて、ブルターニュ・イングランド連合軍が勝利。シャルル・ド・ブロワが戦死したことで、ジャン4世は公位を確立する機会を得ます。翌1365年、ゲランド条約が締結され、ジャン4世は正式にブルターニュ公として認められました。これにより、ドルー家（モンフォール家）によるブルターニュ公位の継承が確立しました。

イングランドとの関係、そして亡命

継承戦争においてイングランドの支援を受けたジャン4世は、イングランドとの同盟関係を重視しました。妃にイングランド王族を迎えたことや、要塞の管理をイングランド人傭兵隊長に委ねたことが、ブルターニュ貴族の反感を買います。さらに、1372年にイングランド王エドワード3世を主君とする秘密条約を結んだことが露見し、貴族たちの不信感は決定的となりました。

1373年、フランス軍がブルターニュに侵攻。ジャン4世は貴族たちの支持を得られず、イングランドへの亡命を余儀なくされました。

凱旋、そして安定

1378年、フランス王シャルル5世はジャン4世を懲罰として公国を没収し、フランス王領への併合を宣言します。しかし、この強硬な措置はブルターニュ貴族たちの反発を招き、独立を求める反乱が勃発。かつて敵対していたジャンヌ・ド・パンティエーヴルも反乱に加わりました。

1379年、ジャン4世はイングランド軍とともに帰国し、公国の支配権を取り戻します。この「凱旋」は、ブルターニュ独立の象徴として、伝統歌「An Alarc'h（白鳥）」の主題となっています。

1380年にシャルル5世が死去するとフランスの勢いが衰え、1381年にジャン4世はシャルル6世との間で第2回ゲランド条約を締結。これにより、ジャン4世は公国を平和的に統治することになります。

クリッソンとの対立

晩年、ジャン4世はフランス大元帥オリヴィエ・ド・クリッソンとの対立を深めます。クリッソンの排除を企て、1387年には彼を捕らえ、身代金と領土を奪いました。1392年には暗殺を企てるも失敗。シャルル6世の介入を招き、再びイングランドへの亡命を準備する事態となりました。

最終的に、1395年にクリッソンとの和睦が成立。1399年にジャン4世はナントで死去しました。後継者となったのは、幼い息子のジャン5世。ジャン4世は遺言でクリッソンを子供たちの後見人に指名し、その後のブルターニュを託しました。

子女

ジャン4世は3度の結婚で多くの子をもうけました。メアリー・オブ・イングランド、ジョーン・ホランドとの間には子供はいませんでしたが、ジャンヌ・ド・ナヴァールとの間には、後のブルターニュ公ジャン5世、アルテュール3世などをもうけました。幼い子供たちの領地管理はメーヌ伯ギー12世・ド・ラヴァルが行いました。

ジャン4世の生涯は、ブルターニュ公として領土と独立を守り抜いた激動の時代を生き抜いた君主として、後世に語り継がれています。

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