身代金

身代金とは

身代金（みのしろきん、英: Ransom）は、主に誘拐事件において人質の解放を条件に支払われる金銭のことを指します。一般的には「身代金」と表記されますが、現代日本の刑法では「身の代金」という表現が用いられることが多く、特に公的な文書ではこの表記が好まれます。

概要

身代金は、誘拐された人物を解放させるために、その対価として渡される金額です。歴史的には、誘拐犯が要求する額は多岐にわたりますが、日本においては、誘拐犯が身代金を受け取る際、警察の捜査によって捕まる場合が圧倒的に高く、結果的に身代金目的の誘拐が成功する可能性は非常に低いとされています。

戦後の日本では、1984年の江崎グリコ社長誘拐事件や1987年の功明ちゃん誘拐殺人事件を含む身代金目的の未解決誘拐事件がわずか8件であり、この解決率は約97%です。これら8件はいずれも身代金を直接奪取されることはなく、誘拐事件の成功率は0%とされています。ただし、この統計は捜査機関に報告されたケースに基づいているため、実際には家族が脅迫に屈し、秘密裏に犯人に身代金を支払った事例が存在する可能性も否定できません。

法的側面

日本の刑法、第225条の2では、身の代金を目的とした誘拐罪は非常に重い罰則が適用されます。他の誘拐に比べ、無期懲役または3年以上の懲役に処せられるため、誘拐犯にとってはリスクが非常に高い行為です。

高額な身代金の例

過去において要求された身代金で最も高額なものは、1973年12月にアルゼンチンでの事例です。アメリカのエクソン石油の総支配人が過激派に誘拐され、解放されるまでの3ヶ月の間に、1420万ドル（およそ42億6000万円）が支払われました。

特異な事件

2023年12月には、アメリカ・ユタ州で中国人留学生が行方不明となり、その後発見されるという事件がありました。彼は何者かの指示に従ってホームステイ先を離れ、その家族が本国から絶えず脅迫を受ける状況に置かれていました。結果、8万ドルが中国の銀行に振り込まれる形で身代金が支払われたと言われています。この事件は、誘拐を装い金銭を要求する「サイバー誘拐」として捜査当局、特に連邦捜査局（FBI）によって取り扱われています。過去にもこのような手法でターゲットにされた中国人留学生の事例が報告されています。

関連項目

身代金に関連する歴史的な慣習には、以下のようなものがあります。

• - マンキャッチャー: 中世ヨーロッパの戦争において、捕虜を奪い取って身代金を要求するための捕まえる道具。
• - 人質: 身代金の対象となる重要な存在。
• - 捕虜交換: 金銭に代わる人質交換の手法。
• - ランサムウェア: マルウェア（コンピュータウイルス）がデータを暗号化し、解除のために身代金を請求する攻撃手法。

このように、身代金という概念には、法的、歴史的、社会的な多くの側面が絡んでおり、その背景を深く理解することで、より広範な視野でこの問題を考えることができます。

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