ジャーシー・ジョー・ウォルコット

"ジャーシー"・ジョー・ウォルコット

本名アーノルド・レイモンド・クリームは、1914年1月31日にアメリカ合衆国ニュージャージー州で生まれ、1994年2月25日にその生涯を終えたプロボクサーです。

リングネームである「"ジャーシー"・ジョー・ウォルコット」は、20世紀初頭に活躍したバルバドス出身のウェルター級王者、バルバドス・ジョー・ウォルコットへの深い尊敬の念から名付けられたものです。

長きにわたるキャリアと挑戦

ウォルコットのプロキャリアは長く、1930年9月9日にスタートしました。彼はヘビー級のトップ戦線で長く戦い続け、幾度となく世界タイトルに挑戦しました。

伝説的な王者ジョー・ルイスには二度挑んでいます。一度目は1947年12月5日、判定で敗れましたが、二度目の1948年6月25日の挑戦では、11ラウンドでの惜しいKO負けとなりました。ルイスとの激闘は、ウォルコットの実力がトップクラスであることを証明するものでした。

続いて、台頭してきたイザード・チャールズとも激しいライバル関係を築きます。1949年6月22日には、空位となっていたNBAヘビー級王座をチャールズと争いますが、判定で敗れタイトル獲得はなりませんでした。その後も1951年3月7日に再びチャールズの世界ヘビー級王座に挑みますが、これも判定負けを喫します。

栄光の瞬間とタイトル防衛

しかし、ウォルコットは諦めませんでした。チャールズへの四度目の挑戦となった1951年7月18日、ウォルコットは圧巻のパフォーマンスを見せます。7ラウンド、チャールズの左ストレートを巧みにヘッドスリップでかわすと、カウンターで放った左フックが見事に炸裂。チャールズをマットに沈め、劇的なKO勝利を収め、ついに悲願の世界ヘビー級王座を獲得しました。この左フックは、ボクシング史における「ベスト・ショット」の一つとして今も語り継がれています。

初防衛戦も再びイザード・チャールズを相手に行われました。1952年6月5日の試合では、判定で勝利を収め、見事に王座を守り抜きました。

王座陥落と引退

王座を手にしたウォルコットでしたが、次なる挑戦者は無敗の怪物、ロッキー・マルシアノでした。1952年9月23日の初対戦では、激闘の末13ラウンドでKO負けを喫し、王座をマルシアノに明け渡すこととなりました。

翌1953年5月15日、ウォルコットはマルシアノの持つ王座に再挑戦しますが、初回わずか1ラウンドでKO負けを喫し、これを機に現役を引退しました。

ボクシング以外の活動

ボクシング引退後も、ウォルコットはリングに上がることがありました。1963年には、プロレスリングの元世界ヘビー級王者であるルー・テーズと異種格闘技戦で対戦。テーズとは計3度戦い、最後は逆片エビ固めでギブアップするなど、話題を提供しました。

戦績と評価

ウォルコットのプロボクシング戦績は、72戦 53勝（33KO）18敗 1分という素晴らしい記録を残しています。

彼は決して大柄ではありませんでしたが、卓越したディフェンス技術、カウンターパンチの正確さ、そして何よりも世界タイトルへの執念で、ヘビー級の歴史にその名を刻みました。特に、長年の挑戦の末に掴んだチャールズからの王座奪取は、多くのボクシングファンの感動を呼びました。

獲得タイトル

第11代 NBA世界ヘビー級王座

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