ジュゼッペ・バリソン

ジュゼッペ・バリソン

ジュゼッペ・バリソン（Giuseppe Barison, 1853年9月5日 - 1931年1月7日）は、トリエステで生まれた著名な画家であり、版画家です。彼は主に風俗画を描き、その芸術はトリエステやローマ、さらにはヴェネツィアで評価されました。

生い立ちと教育

バリソンはオーストリア帝国直轄の繁栄したトリエステで、あまり裕福ではない仕立て屋の家庭に生まれました。しかし、地元の貴族女性の支援を受けて、彼は画家のカール・ハッセに絵を学ぶ機会を得ます。その後、ヴェネツィア美術アカデミーに入学し、エドゥアルト・フォン・エンゲルトやカール・フォン・ブラースに指導を受けました。ウィーンの画家アウグスト・アイゼンメンゲルからも影響を受け、彼のスタイルを形成する基盤となりました。

1876年に卒業後、バリソンはトリエステに戻り、翌年には展覧会に参加。ここでの評価により、ローマへ2年間留学する機会を得ます。ローマでは、ハッセが描いた作品に触発されながら、自身の作品を生み出しました。ただし、その時期の作品は時代遅れとされ、厳しい評価を受けることもありました。

自然主義への移行と活躍

その後、バリソンは自然主義的なスタイルにシフトし、人物画や風俗画を手がけるようになります。彼の芸術が次第に評価されるにつれて、ヴェネツィアに活動の場を移しました。そして、ジャコモ・ファヴレットからも多くの影響を受けました。

1880年からは、ヴェネツィア美術振興協会の展覧会に作品を出品し、1886年にはウンベルト王子賞を受賞しますが、イタリア国籍がなかったため受賞は取り消されるという屈辱も経験しました。バリソンは1883年にトリエステの名家の娘と結婚していますが、妻がヴェネツィアの環境に馴染まなかったため、1887年には家族と共にトリエステに戻りました。

戦中の避難と晩年

トリエステに戻った後も活動を続け、1912年にはトリエステ貯蓄銀行から絵の注文を受けるなどしました。一方、第一次世界大戦中には、ジェノヴァ近くの保養地Pegliに避難して義理の息子の家に身を寄せ、戦後再びトリエステに戻りました。彼はその後も風俗画を描き続け、1931年にトリエステでこの世を去るまで、彼自身の独自のスタイルを追求し続けました。

まとめ

ジュゼッペ・バリソンの作品は、特に風俗画を通じて彼の描く人物や場面に独特の感受性と時代背景が色濃く表れています。彼の人生は、芸術と生活環境が複雑に絡み合ったものであり、描いた作品はその証拠として今も多くの人々に感動を与えています。彼の遺した芸術は、今でも多くの人々に鑑賞され、愛されています。

もう一度検索