ジュノーII

ジュノー II

ジュノー IIは、アメリカ合衆国によって開発され、1950年代後半から1960年代初頭にかけて人工衛星を宇宙空間へ送り出すために使用されたロケットです。当時のアメリカの宇宙開発計画において、初期段階のペイロード打ち上げを担う重要な役割を果たしました。

開発の背景と構造

このロケットは、先行して開発されたジュピター中距離弾道ミサイルを第一段として活用することで誕生しました。ジュピターミサイルの持つ強力な推進力を基盤とし、その上にさらなる多段式の構造を追加することで、人工衛星を地球周回軌道やそれ以遠へ投入する能力を獲得しました。第二段以降の構造は、ジュノーIロケットと共通の設計思想に基づいており、MGM-29サージェントミサイルの小型化されたロケットエンジンを複数束ねるというユニークな方式を採用しています。

具体的には、第二段には11基の小型エンジンが、第三段には3基の小型エンジンがそれぞれクラスターとして搭載されました。さらに、特定のミッションでは第四段も追加され、ここにも1基の小型エンジンが使用されました。ただし、比較的低い地球周回軌道へ小型の人工衛星を打ち上げる際には、第四段を使用しない構成も選択可能であり、この場合、最大で約9キログラムのペイロードを運ぶことができました。

この多段式ロケットとしての設計は、当時の技術的制約の中で、既存のミサイル技術を最大限に活用し、衛星打ち上げ能力を迅速に実現するための工夫でした。

運用史と成果

ジュノー IIロケットは、その短い運用期間中に合計10回の打ち上げミッションに使用されました。これらのミッションは、主に初期の科学衛星や惑星探査機の打ち上げを目的としていました。しかしながら、当時の宇宙開発技術はまだ黎明期にあり、打ち上げの成功率は必ずしも高いものではありませんでした。実際に、10回のうち6回の打ち上げが失敗に終わっており、技術的な課題や信頼性の問題に直面していたことがうかがえます。

成功した打ち上げには、以下のような重要なミッションが含まれます。

パイオニア3号
パイオニア4号
エクスプローラー7号
エクスプローラー8号
エクスプローラー11号

これらの衛星は、地球の放射線帯の観測や宇宙ガンマ線の検出など、様々な科学的探査を行いました。打ち上げは主に、フロリダ州にあるケープカナベラル空軍基地の第5射場および第26B射場から実施されました。成功率こそ高くありませんでしたが、ジュノー IIによるこれらのミッションは、アメリカの初期宇宙探査計画において貴重なデータをもたらし、その後のより高性能なロケット開発へとつながる礎となりました。

主要諸元

ジュノー IIの主な仕様は以下の通りです。

全長: 約24.0メートル
軌道投入能力 (高度200km): 最大41.5キログラム
脱出速度達成能力: 最大6.1キログラム
初打ち上げ日: 1958年12月6日
最終打ち上げ日: 1961年5月24日

約2年半という比較的短い運用期間でしたが、このロケットは初期の宇宙開発競争において、アメリカが科学衛星や探査機を宇宙に送り出す能力を持つことを示す存在でした。その経験は、以降のより洗練された打ち上げシステムの開発に活かされることになります。

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