ジュノーI

ジュノーIは、アメリカ合衆国で開発され、初期の宇宙開発において重要な役割を果たした4段式ロケットです。特に1958年1月には、アメリカ初の人工衛星となるエクスプローラー1号を軌道へ送り出すという、歴史的な成功を収めました。このロケットは、陸軍弾道ミサイル局（ABMA）が開発したレッドストーンロケットシリーズに属し、先行するジュピターC観測ロケットを基に改良が加えられた機体です。しばしば混同されるジュノーIIは、PGM-19ジュピター中距離弾道ミサイルを第一段とする異なる系統のロケットです。

開発は、ジュピターC観測ロケットをさらに発展させる形で行われました。ジュピターCは通常3段構成でしたが、ジュノーIではその3段目ブースターの上部に、小型の4段目を付加することで軌道速度への到達を目指しました。具体的には、3段目の燃焼が完了した後、最終段である4段目に点火し、約18,000 mph（秒速約8 km）という地球周回に必要な速度を獲得します。この多段構成システムは、ヴェルナー・フォン・ブラウン率いるチームが提唱したオービター計画に基づき、1956年に設計されました。上段に誘導装置を持たない比較的単純な構造でありながら、ペイロードを軌道に乗せる有効な手段でしたが、その簡素さゆえに厳密に狙った軌道への投入は困難でした。機体の全高は、3段式のジュピターCと同じ21.2メートルであり、ジュノーIで追加された4段目は、3段目の先端部であるノーズコーン内部に巧妙に収められていました。

ジュノーIの運用は、ヴァンガード計画やバイキングロケットシリーズといった他の初期ロケットの打ち上げ失敗が続いた時期に、アメリカの宇宙開発にとって大きな成功をもたらしました。しかし、総計6回行われた打ち上げのうち、成功したのはわずか3回に留まっています（エクスプローラー1号、エクスプローラー3号、エクスプローラー4号）。

各打ち上げの詳細は以下の通りです。
1958年1月31日: 最初の打ち上げで、エクスプローラー1号の軌道投入に成功。総重量約13.91 kgの衛星を、近地点約360 km、遠地点約2,535 kmの軌道に乗せました。衛星本体は1970年まで軌道上にとどまりました。
1958年3月5日: エクスプローラー2号を搭載しましたが、4段目の点火不良により軌道投入失敗。衛星重量は約14.22 kgでした。
1958年3月26日: エクスプローラー3号の軌道投入に成功。総重量約14.0 kgの衛星を、近地点約192 km、遠地点約2,800 kmの軌道に乗せました。
1958年7月26日: エクスプローラー4号の軌道投入に成功。総重量約16.86 kgの衛星を、近地点約263 km、遠地点約2,210 kmの軌道に乗せました。
1958年8月24日: エクスプローラー5号を搭載しましたが、分離後のブースターが2段目に衝突し、上段の燃焼角度がずれたため軌道投入失敗。衛星重量は約16.86 kgでした。
1958年10月23日: 約3.7メートルの膨張型航法衛星を搭載しましたが、ブースターからの2段目分離が途中で発生し軌道投入失敗。衛星重量は約14.3 kgでした。

ジュノーIでの相対的な成功を受け、後継機ジュノーIIが開発されましたが、こちらはレッドストーンではなくより大型のジュピターミサイルを第一段に使用しています。

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