ジュライ・ハウンド

ジュライ・ハウンド：アメリカが生んだキツネ狩りの名犬

ジュライ・ハウンドは、アメリカ合衆国原産のセントハウンド犬種で、別名ジュライ・フォックスハウンドとも呼ばれています。その犬種名は、本種の基礎となった雄犬の名前「ジュライ」に由来します。

歴史

ジュライ・ハウンドの歴史は、1860年頃、ジョージア州の富豪マイルス・ハリス氏が、メリーランド州から2頭のアイリッシュ・ハウンドの仔犬を購入したことから始まりました。ハリス氏は、購入した仔犬を「ジューン」と「ジュライ」と名付け、キツネ狩りのために訓練しました。

特に「ジュライ」は、ずば抜けた狩猟能力を発揮し、その俊足と粘り強さで、キツネ狩りの成功率を高めました。その評判を聞きつけたジョージア州の猟犬ブリーダー、ジョージ・バードソング氏がジュライを高値で購入し、自身のアイリッシュ・ハウンドと交配させることで、ジュライ・ハウンドが誕生しました。遺伝子プールの閉塞を防ぐため、アメリカン・フォックスハウンドの血も加えられています。

狩猟犬としての活躍

ジュライ・ハウンドは、主にキツネ狩りのために使役されてきました。小規模なパックを組み、ハンターが乗る馬の後を追って狩り場へ向かい、キツネの臭いを追跡し、自らの手で仕留めます。キツネ狩りは、イギリス貴族の娯楽が伝わったスポーツの一種です。

現状

キツネ狩りが衰退した現代でも、ジュライ・ハウンドは、主にミズーリ州、ミシシッピ州、ルイジアナ州を中心としたアメリカ南部で飼育されています。しかし、ケネルクラブへの公認はされておらず、一部のファンによって実猟犬としてのみ飼育されています。商業目的の繁殖は行われておらず、ペットとして飼育されているのは、実猟を引退した犬に限られています。アメリカ南部の一部でしか飼育されていない、非常に珍しい犬種です。

特徴

ジュライ・ハウンドは、典型的なセントハウンド犬種に近い容姿をしていますが、脚が長く、より俊足です。筋肉質な体つきで、力強く、垂れ耳と飾り毛のない垂れ尾を持ちます。コートはスムースコートで、毛色はホワイト・アンド・レッド、ホワイト・アンド・タン、ホワイト・アンド・ブラック、トライカラーなどがあります。大型犬に分類され、主人に忠実で従順、勇敢で粘り強く、高い狩猟本能を持つとされています。一度見つけた獲物は、主人の制止がない限り、いつまでも追い続けることができます。

生粋の猟犬種であるため、頑固で独立心が旺盛な一面も持ち合わせています。しつけは主人からのみ受け付け、状況判断力は高いです。パックで行動するため、他の犬との協調性も高く、獲物の臭いを追跡することを好みます。運動量は非常に多く、初心者には飼育が難しい犬種と言えるでしょう。

参考文献

『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書、福山英也、大木卓訳 誠文堂新光社、2007年

関連項目

犬の品種一覧
フォックスハウンド (犬種)
トリッグ・ハウンド
* ウォーカー・ハウンド

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