ジュリアーノ・デ・メディチ (ヌムール公)

ジュリアーノ・デ・メディチの生涯

ジュリアーノ・ディ・ロレンツォ・デ・メディチ（Giuliano di Lorenzo de' Medici, 1479年3月12日 - 1516年3月17日）は、ルネサンス期のフィレンツェを彩ったメディチ家の一員です。彼は政治家、貴族としてだけでなく、文化人、芸術のパトロンとしてもその名を知られています。父はロレンツォ・イル・マニフィコ、母はクラリーチェ・オルシーニという名門の家に生まれ、兄にはピエロと、後にローマ教皇レオ10世となるジョヴァンニがいました。

メディチ家の没落と復権

父ロレンツォの死後、兄ピエロがフィレンツェの支配者となりますが、その享楽的な振る舞いと政治的失策により、メディチ家は市民の信頼を失います。1494年、フランス王シャルル8世がフィレンツェに入城すると、メディチ家は亡命を余儀なくされ、ジュリアーノはヴェネツィアへと逃れます。その後、兄ピエロが1503年に亡くなりますが、スペイン主導の神聖同盟の結成により、メディチ家は再び勢力を回復し、1513年から1516年まで、ジュリアーノはフィレンツェを統治することになります。また、次兄であるレオ10世から教皇軍総司令官に任命されるなど、メディチ家の権威回復に貢献しました。

文化人としての側面

しかし、ジュリアーノは政治に熱心に取り組むよりも、文人や芸術家との交流を好み、パトロンとしての活動に多くの時間を費やしました。レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルドヴィーコ・アリオスト、フランチェスコ・デル・ジョコンドといった、錚々たる芸術家や文化人が彼の友人でした。特にレオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は、ジュリアーノからの依頼によるものという説も存在します。

フランス宮廷との関係

1515年、ジュリアーノはサヴォイア公フィリッポ2世の娘で、フランス王フランソワ1世の母方の叔母にあたるフィリベルタと結婚します。この結婚は、次兄レオ10世の取りなしにより実現しました。さらに、フランソワ1世はジュリアーノにヌムール公位を授け、フランス宮廷との関係を深めました。フランス側はジュリアーノをナポリ王位につけようと画策していましたが、ジュリアーノは1516年に急逝し、その計画は実現しませんでした。フィレンツェの支配者としての地位は、甥であるロレンツォに引き継がれることになります。

子孫

フィリベルタとの間に子供はなく、庶子としてイッポーリトが一人いました。イッポーリトは後に枢機卿となっています。

芸術とパトロン

ジュリアーノは、ルネサンスの芸術家たちの強力なパトロンであり、彼の存在が、当時の文化、芸術の発展に大きく貢献しました。レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」の依頼主とされる説は、彼が芸術に関心が高く、才能ある芸術家を支援していたことを物語っています。

まとめ

ジュリアーノ・デ・メディチは、激動の時代を生きたフィレンツェの貴族であり、政治家でした。しかし、その一方で文化人、芸術家たちのパトロンとしての活動は、ルネサンス文化の発展に大きく寄与しました。彼の短い生涯は、メディチ家の栄光と没落、そしてルネサンス文化の華やかさを象徴しているといえるでしょう。

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