ジュール・フェリー

ジュール・フェリー：フランス教育改革の父、その生涯と業績

ジュール・フランソワ・カミーユ・フェリー（1832年4月5日 - 1893年3月17日）は、フランス第三共和政において重要な役割を果たした政治家です。彼は二度首相を務め、フランスの教育制度に革命をもたらしました。本稿では、彼の生い立ちから政治家としてのキャリア、そして教育改革への貢献、晩年までを詳細に解説します。

生い立ちと初期のキャリア

1832年、ジュール・フェリーはヴォージュ県のサン＝ディエ＝デ＝ヴォージュで生まれました。パリで法学を修めた後、弁護士資格を取得。しかし、彼はすぐに政治の世界に足を踏み入れ、『ル・タン』紙などの新聞に寄稿し、フランス第二帝政を批判しました。特に、セーヌ県知事ジョルジュ＝ウジェーヌ・オスマンによるパリの大規模開発事業を批判し、1868年には『オスマンの幻想物語』を出版しています。

政界での活躍

1869年、フェリーはパリの立法院議員に当選し、政界での地位を確立します。普仏戦争には開戦当初から反対の立場を取りました。1870年9月には、国防政府によってセーヌ県知事に任命され、包囲下のパリの行政を担いました。パリ・コミューン後、1871年にセーヌ県知事を辞任。その後、1872年から1873年までギリシャ公使を務め、一方でヴォージュ県の代議院議員にも当選し、共和派オポチュニスト党の指導者の一人として活躍しました。

公共教育大臣としての功績

1879年、ウィリアム・アンリ・ワディントン内閣で公共教育大臣に任命されたフェリーは、教育改革に力を注ぎました。彼が主導した一連の教育法は「ジュール・フェリー法」と呼ばれ、フランスの教育制度の根幹をなしています。教育大臣時代には、私学による学位授与の禁止や、許可を得ていない宗教団体の解散などの措置を講じました。1880年9月には首相に就任し、初等教育の無償化や女子中等教育の拡充を実現しました。

1882年には、シャルル・ド・フレシネ内閣で再び教育大臣を務め、ライシテ（政教分離）と義務教育に関する法律を制定。女子高等師範学校の設置や、女性に対するアグレガシオン（一等教員資格）の授与も行いました。

外務大臣、そして植民地政策

教育政策に情熱を注ぐ一方で、フェリーはフランスの植民地拡大を積極的に支持しました。チュニジア侵攻を推進し、1881年にはチュニジアを保護国化しました。また、第一次マダガスカル遠征を終結させた条約を準備し、コンゴ遠征やニジェール遠征、ヴェトナムへの勢力拡大も推進しました。

1883年に二度目の首相に就任すると、ヴェトナム侵攻をめぐり、中国（清）との間で清仏戦争が勃発しました。しかし、第二次ランソン攻勢での失態により、1885年に辞任を余儀なくされました。もっとも、1885年6月9日に締結された天津条約はフェリーの功績として評価されています。

晩年

1887年、ジュール・グレヴィ大統領の辞任後に行われた大統領選挙に立候補しましたが、急進共和派の支持を得られず、最終的に撤退しました。その後、ブーランジェ運動の活動家によって銃撃され負傷。1890年には元老院議員に当選し、死去の3週間前には元老院議長に選出されました。1893年3月17日、銃創が完治しないまま死去。彼の死後、代議院は国葬を可決しました。

ジュール・フェリーは、フランス教育の近代化に多大な貢献をした政治家として、今もなお高く評価されています。彼の推進した教育改革は、フランス社会の発展に大きな影響を与えました。

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