ジョアン・カーナー

ジョアン・ガンダーソン・カーナー（JoAnne Gunderson Carner）は、1939年4月4日にワシントン州カークランドで生まれた、アメリカ合衆国の傑出した元女子プロゴルファーです。

「グレート・ガンディ」としてのアマチュア時代

彼女のキャリアは、異例ともいえるアマチュアでの長期活躍から始まりました。結婚前の姓から「グレート・ガンディ」という愛称で知られたカーナーは、30歳になるまでプロ転向せず、1956年から1968年にかけてアマチュアゴルフ界の頂点に君臨しました。特に全米女子アマチュア選手権では圧倒的な強さを誇り、通算5度の優勝を果たしています。これは、この大会における歴代最多勝記録を持つグレナ・コレット＝ベアに次ぐ偉業です。また、同大会で2度決勝に進出しながら惜しくも敗れた経験もあります。1966年の決勝戦では、マレーン・スチュアート・ストレイトとの間で全米アマチュア史上最長となる41ホールに及ぶ壮絶なプレーオフを戦い抜き、勝利を収めました。アマチュア時代のもう一つの重要なタイトルは、1956年に獲得した全米女子ジュニアアマチュア選手権の優勝です。さらに、1969年にはまだアマチュアの身分でありながら、LPGAツアーのバーディンズ・インビテーショナルで優勝するという快挙を成し遂げました。これは、プロの最高峰ツアーで優勝した数少ないアマチュア選手の一人としての記録です。

「ビッグママ」として開花したプロキャリア

1970年にプロへ転向してからのカーナーは、すぐにLPGAツアーのトッププレーヤーとなりました。「ビッグママ」という別の愛称で親しまれた彼女は、プロとして通算43勝を積み上げ、これはLPGAツアーの歴史において歴代5位に相当する素晴らしい記録です。中でも最も輝かしい勝利は、全米女子オープンでの2度の優勝でしょう。1971年大会では、最終的に2位に7打差をつける圧倒的なパフォーマンスでメジャータイトルを獲得しました。続く1976年大会では、サンドラ・パーマーとの手に汗握る18ホールのプレーオフを制し、再び全米女子オープンチャンピオンの座に輝きました。

類まれな記録とゴルフ界への貢献

ジョアン・カーナーがゴルフ史にその名を刻む最大の理由は、彼女が達成した唯一無二の偉業にあります。彼女は、全米女子ジュニアアマチュア選手権、全米女子アマチュア選手権、そして全米女子オープンという、全米ゴルフ協会（USGA）が主催する主要な3つの女子タイトルを全て獲得した史上唯一の女性選手です。また、USGA主催の異なる3選手権に勝利した最初の選手でもあります。

その卓越したプレーとスポーツマンシップは高く評価され、1981年にはUSGAからゴルフ界最高の栄誉とされるボブ・ジョーンズ賞を授与されました。1982年には世界ゴルフ殿堂入りを果たし、その功績が永久に称えられることとなりました。さらに、1994年にはソルハイムカップにおいて、アメリカチームのキャプテンを務め、チームを牽引しました。

驚異的な現役生活の長さ

カーナーのキャリアのもう一つの特筆すべき点は、その驚異的な競技寿命の長さです。LPGAツアー史上2番目に生涯獲得賞金が100万ドルを超えた選手であり、経済的な成功も収めました。1990年代後半に至っても、彼女は競技に耐えうる高い実力を維持していました。特に印象的なのは、2004年に64歳という年齢でLPGAツアーの予選ラウンドを通過したことです。これは現在も破られていない、LPGAツアーにおける最年長予選通過記録となっています。

ジョアン・カーナーは、その記録的なアマチュアキャリア、プロ転向後の輝かしい成功、そして何よりもUSGA主要タイトルを全て制覇した唯一無二の存在として、女子ゴルフ界の偉大なレジェンドとして語り継がれています。

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