ジョセフ・グルー

ジョセフ・クラーク・グルーの外交生涯

ジョセフ・クラーク・グルー（1880年5月27日 - 1965年5月25日）は、アメリカ合衆国の外交官および著述家であり、特に日米関係における重要な人物として知られています。彼は、アメリカの特命全権大使として日本に駐在していた1932年から1942年の間に、日米間の緊張が高まる中で開戦回避のために尽力しました。が開戦後には、日本国内で抑留され、後に帰国を果たすことになります。

生い立ちと学歴

グルーはマサチューセッツ州ボストンに生まれ、由緒ある家庭で育ちました。ひと回り上の兄弟とともに通ったボストンのグロトン校では人格形成を受け、続いてハーバード大学で学びました。大学では、新聞の編集やスポーツ活動にも注力し、社交的な生活を楽しんでいました。彼の家族は、イギリスからの移民の伝統をもち、貿易業や金融業で成功を収めた豪商の家系でありました。

外交官としてのキャリア

1904年から1932年

グルーの外交官としてのキャリアは、カイロのアメリカ総領事館から始まり、国際的な経験を積み重ねていきました。彼は数か国に駐在し、その後、第一次世界大戦中にはワシントンD.C.で国務省に勤務しました。ヨーロッパの外交関係を学び、その後トルコでも外交官としての能力を発揮しました。

駐日大使としての活動

1932年6月から、グルーは駐日アメリカ大使を務め、日本が国際連盟から脱退する直前までの間、日本の穏健派との関係を重視し、国際的な圧力による平和的解決を試みました。しかし、時が経つにつれて日本が対外的に強硬姿勢を強めていく中で、グルーの立場は次第に難しくなりました。特に満州事変やその後の日本の軍事行動に強い懸念を示し、日本国内でも穏健派の動きに期待を寄せましたが、次第にそれが難しくなっていきました。

開戦と帰国

1941年12月に真珠湾攻撃が起こると、彼は日本国内に抑留されることになりますが、交換船を通じて1942年に無事に帰国しました。帰国後は国務次官に就任し、天皇制の存続を訴える一方で、終戦政策の立案に関わることになります。

日本への姿勢と評価

グルーは、ダイアログと交流によって日米関係を深めることを重視し、日本に対して友好的な姿勢を貫いていました。彼は、日米戦争を非生産的と見なしており、その回避を目指して活動していました。しかし、彼の日本理解には限界があったという指摘もあり、保守的な立場の政治家としての側面もありました。彼の日本観はその後の外交政策にも影響を与え、戦後の日本の在り方に対しても直接的な表現を残しました。

退任後の活動と影響

戦後、彼は日本との友好関係を維持し、しばしば講演活動に従事しました。彼の著作『滞日十年』や『東京報告』は、彼の日本観を示す重要な文献となり、日米関係についての理解を深めるための貴重な資料となっています。1965年に亡くなるまで、彼は日本とアメリカをつなぐ重要な架け橋の役割を果たしました。特に日本を理解しようと努力した姿勢は、今後の外交政策にも影響を与え続けているのです。

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