ジョセフ・ヘンリー

ジョセフ・ヘンリー: アメリカの物理学者

ジョセフ・ヘンリー（1797年12月17日 - 1878年5月13日）は、アメリカの物理学者であり、電磁気学の基礎を築いた重要な人物です。彼は特に電磁誘導の研究で知られ、スミソニアン協会の初代会長としても米国における科学振興に貢献しました。ヘンリーは生前からもその業績が評価されており、1953年には電磁誘導の単位に彼の名前が冠されるなど、今日においても彼の影響は大きいです。

生涯

ジョセフ・ヘンリーはニューヨーク州オールバニでスコットランド系の両親の元に生まれました。家族は貧しく、幼い頃に父を亡くしたため、祖母と共に過ごしながら教育を受けました。彼は若い頃から演劇に興味を持ち、俳優を目指していましたが、16歳の時に科学書に出会い、その後、科学に目覚めます。1819年にはオールバニアカデミーに入学し、数学と自然哲学を学びました。

教授としてのキャリアが始まるのは1826年で、彼の才能が認められオールバニアカデミーで数学と自然哲学の教授に就任しました。ヘンリーは地磁気に興味をもち、電磁石の実験を行い、1831年に強力な電磁石を発明しました。

電磁誘導の発見

1830年、彼はマイケル・ファラデーに先駆けて電磁誘導を発見しましたが、彼の成果は発表が遅れたためファラデーに功が帰されました。その年、ヘンリーは電磁気を動力源とした機械を作り、動きを実現しました。この成果は後の電動機の発展に寄与しました。

ヘンリーは特許を取得せず、他者がその知識を用いるのを助けました。彼の発明した継電器は、サミュエル・モールスの電信機の基礎となりました。さらに、1842年には電磁振動を発見し、1846年にスミソニアン協会の初代会長に就任しました。

気象学への貢献

ヘンリーはスミソニアン協会での役割を通じて、気象観測の重要性に着目し、スミソニアン気象プロジェクトを立ち上げました。各地に有志を募り、気象観測網を構築することで、全国にわたる気象データの収集に努めました。また、電報網を利用して即時の気象情報を得る試みも行いました。これらの成果は後のアメリカの気象予報の基盤を築くことになりました。

晩年と評価

晩年のヘンリーは、他の科学者や発明家の指導に尽力し、辛抱強く優れた人柄で知られました。特にアレクサンダー・グラハム・ベルとの関係が有名で、ベルの電話の実験にも立ち会い、彼の発明を見守りました。1878年5月13日にワシントンD.C.で亡くなるまで、ヘンリーは多くの科学的業績を積み重ねました。

彼は灯台委員会の委員も務め、灯台や音響信号に関する業績が評価されています。死後5年後には行進曲『金星の日面通過』が誕生し、1915年にはブロンクス区の偉大な米国人の殿堂に入るなど、彼の影響力は今もなお感じられます。プリンストン大学内には、彼を記念した施設も存在し、彼の研究の重要性は長く語り継がれています。

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