ジョゼフ＝ジャン＝ピエール・ロラン

ジョゼフ＝ジャン＝ピエール・ロランについて

ジョゼフ＝ジャン＝ピエール・ロラン（Joseph-Jean-Pierre Laurent）は、19世紀のフランスのアマチュア天文家であり、1858年に小惑星 (51) ネマウサを発見しました。この発見は彼の数少ない業績の一つであり、フランス科学アカデミーからラランド賞を授与されるという栄誉を得たものの、ロラン自身についての詳細な情報は非常に限られています。

ロランの天文学への貢献

ロランは天文学の分野では名を馳せることはありませんでしたが、彼の業績は仲間の天文学者からも評価されていました。エドゥアール・ステファンという天文学者は彼を「非常に有能な若者」と称賛し、また「マルセイユ学派の傑出した一員」とも見なしていました。彼はアマチュア天文学者として知られるだけでなく、ニーム保証局の検査官という職務も持っていました。

ロランが小惑星を発見した私設天文台は、以前天文学者バンジャマン・ファルツが使用していたもので、ファルツが新たにマルセイユ天文台の所長になった際に放棄されたものでした。ロランはファルツから観測機器を預かり、そこでネマウサを発見するに至ります。この天文台が位置していたニームのラゴー通りには、現在でもネマウサの発見を記念するプラークが設置されています。

1858年、ロランは科学アカデミーからの表彰としてラランド賞を受賞しました。この年、彼は他にも小惑星や彗星の発見者とともにその功績を称えられました。さらに1876年には、アンリ兄弟のプロスペールが発見した小惑星にロランの名前を冠し、(162) ローランシアと名付けられました。

私生活と職業

ロランは1858年の11月26日にマルセイユ天文台の観測助手としての職を得ましたが、1859年の2月20日に辞職しました。彼は辞職の理由としてファルツの天文台の運営の不備を挙げていますが、ファルツの側はロランを責任感が欠如し、指示に従わないと非難しています。この一連のやり取りは、1863年にファルツがアントワヌ・ダバディ宛ての書簡の中で触れています。

辞職後、ロランは化学分析の研究を始め、自身の名前で研究を行っていましたが、彼の個人名についてはあまり知られていないことが多く、文献からはイニシャルや略称しか記載されていませんでした。彼の本名がジョゼフ＝ジャン＝ピエールであることは、1858年に彼からファルツに宛てた手紙の中で明らかになっています。小惑星センターにおいても、ロランの名前は現在「J. J. P. Laurent」として記載されています。

写真術との関係

ロランには、写真術の先駆者であるアンドレ＝アドルフ＝ウジェーヌ・ディズデリとの関係が示唆されています。ディズデリは1853年にニームに滞在中に、写真付き名刺の製作方法を開発したとされています。この製作方法は、ロランの化学的な助言があって初めて実現したとディズデリは述べています。これにより、彼の名がディズデリの評伝に言及されることとなりましたが、ロランとの直接的なつながりについての証拠は存在していません。

総まとめ

ジョゼフ＝ジャン＝ピエール・ロランの天文学的業績は、彼の生涯の中で一度の小惑星発見に留まりますが、その成果は歴史に名を刻むこととなりました。独自の天文学的視点を持ちながらも、彼の人生や業績には語られない部分が多く、今後の研究によってさらなる情報が明らかになることを期待されます。

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