ジョゼ・オスカー・ベルナルディ

ジョゼ・オスカー・ベルナルディ（1954年6月20日生まれ）は、ブラジル・ミナスジェライス州出身の元サッカー選手、サッカー指導者である。卓越したディフェンダーとして、ブラジル代表チームの中核を担い、輝かしいキャリアを築いた。

華麗なるブラジル代表での活躍

ベルナルディは、1978年、1982年、1986年と3度のFIFAワールドカップに出場。そのうち2大会では主将としてチームを牽引した。1978年アルゼンチン大会では、惜しくも決勝進出を逃したものの、そのリーダーシップと守備力は高く評価された。1982年スペイン大会では、スコットランド戦でヘディングシュートを決めるなど、攻撃面でも貢献している。ブラジル代表での国際Aマッチ出場数は59試合、2得点を記録している。

ブラジル、アメリカ、そして日本へ

ブラジル国内での活躍を経て、ベルナルディは1978年にアメリカ合衆国のニューヨーク・コスモスへ移籍。チームはリーグ優勝を果たし、ベルナルディの才能は世界に知れ渡ることとなった。その後、1980年にはサンパウロFCに移籍。約8シーズンにわたりチームのキャプテンとして活躍し、ウルグアイ代表のダリオ・ペレイラと共に鉄壁の守備陣を築き上げた。サンパウロFCでは、カンピオナート・パウリスタ（サンパウロ州選手権）で4度の優勝、1986年にはブラジル全国選手権制覇に貢献するなど、数々の栄光を掴んでいる。

日本のサッカー界に革命を起こした男

1987年、ベルナルディは加茂周監督の熱意ある誘いを受け、日本サッカーリーグ（JSL）の日産自動車サッカー部（現横浜F・マリノス）へ移籍。その卓越したプレーだけでなく、プロ意識の高さとリーダーシップで、チームに大きな変革をもたらした。攻守にわたる活躍で、チームを勝利に導くとともに、日本の選手たちにプロフェッショナルとしての姿勢を植え付けた。1988-89シーズンには、日本サッカーリーグ、天皇杯全日本サッカー選手権大会、JSLカップの三冠を達成。この偉業により、日本年間最優秀選手賞を受賞した。

指導者としてのキャリア

1989年に現役を引退したベルナルディは、加茂周監督の後任として日産自動車サッカー部の監督に就任。当時、日本では珍しかったフィジカルコーチを招聘するなど、先進的な指導方法を取り入れ、チームを強化。3-5-2システムなどの新たな戦術も導入し、1989-90シーズンにも三冠を達成した。1991-92シーズンは低迷期もあったものの、チームを立て直し、リーグ戦2位まで躍進させた。その後、ブラジル国内のクラブを転々とした後、1995年にJリーグ昇格を目指していた京都パープルサンガの監督に就任。その年にJリーグ昇格を果たすという偉業を達成したものの、1996年シーズンは開幕から15連敗と苦戦し、シーズン途中で解任された。

日本のサッカー界への貢献とその後

ベルナルディは、Jリーグ発足前に世界的なトッププレイヤーとして日本でプレーした最初の選手であり、その功績は日本のサッカー界に計り知れない影響を与えた。帰国後も、ブラジルでサッカースクールを運営し、後進の育成に尽力している。雑誌『ストライカー』では、カレッカやロジェ・ミラなどのスーパースターのテクニックについて解説する連載も担当していた。加茂周監督は、ベルナルディについて「こんな素晴らしい人間性の人間が居ると思わなかった。温厚、紳士、最高の人間である。」と高く評価している。ベルナルディの功績は、選手、監督としてだけでなく、人としても高く評価されており、日本のサッカー界に大きな足跡を残した人物であると言える。

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