ジョゼ・ボニファチオ・デ・アンドラダ

ジョゼ・ボニファシオ・デ・アンドラダ・エ・シルヴァ：ブラジル建国の父

ジョゼ・ボニファチオ・デ・アンドラダ・エ・シルヴァ（1763年-1838年）は、ブラジル独立に多大な貢献をした人物です。科学者、政治家、詩人として活躍し、その生涯はブラジルの歴史に深く刻まれています。サンパウロ州サントスに生まれ、ヨーロッパで科学を学び、ブラジルに戻ってからは政治の中枢で活躍しました。

科学者としての業績

1790年から1800年にかけてヨーロッパを旅行したボニファシオは、化学や鉱物学を研究し、多くの発見をしました。4つの新鉱物と8つの新種を発見したという記録が残っています。中でも灰鉄柘榴石（アンドラダイト）は、彼の名前にちなんで命名されました。また、リチウムを含む鉱物ペタル石の発見は、スウェーデンの化学者によるリチウム発見につながる重要な一歩となりました。彼はリシア輝石の発見にも貢献しています。

ヨーロッパでの研究活動後、コインブラ大学で地質学を教えたボニファシオは、ポルトガルの鉱業査察官も務めました。12ヶ国語を理解し、4ヶ国語を話すなど、多才な人物でした。リスボン科学アカデミーの終身会員にも選ばれています。1819年にブラジルに戻り、母国でも科学調査を指揮しました。

政治家としての活躍とブラジル独立

ボニファシオはペドロ摂政王子に助言し、ブラジルの独立運動を支援しました。1821年のブラジル独立宣言後、内務大臣兼外務大臣に就任し、事実上の首相としてブラジル建国に尽力しました。独立後の制憲議会では「奴隷制度廃止計画」の起草者の一人となり、奴隷解放を強く訴えました。しかし、彼の民主主義的な考え方はペドロ1世と対立し、1823年には失脚、フランスへ追放されました。

フランスでの流刑生活中に詩集『種々詩集（Poesias Avulsas）』を発表。1829年に帰国が許されると、1831年にペドロ1世の退位後、後継者のペドロ2世の教育係に任命されました。しかし、摂政政府に反発し、1833年には逮捕されましたが、後に恩赦を受けました。

文学者としての顔

ボニファシオは詩人としても知られています。彼の詩集は、自然への深い愛情と汎神論的な思想を示しています。彼の作品は、彼の知性と科学的な好奇心が反映されたものであり、ブラジル文学に重要な足跡を残しました。彼の科学的、政治的、社会的な業績は後世に伝えられ、研究が続けられています。1797年にはスウェーデン王立アカデミーの外国人会員にも選ばれています。

まとめ

ジョゼ・ボニファシオ・デ・アンドラダ・エ・シルヴァは、科学、政治、文学の分野で卓越した業績を残した人物です。彼の功績は、ブラジルの独立と発展に大きく貢献しました。その生涯は、理想を追い求め、常に時代の最先端を歩もうとした、まさに近代的な啓蒙思想家の生き様と言えるでしょう。彼の波瀾万丈の人生は、後世の人々に大きな示唆を与え続けています。

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