ジョックロック

ジョックロックとは

「ジョックロック」は、元々ヤマハがXGフォーマットの普及のために制作したデモ曲の一つです。作曲者はロブ・ローベリー（Robert Rowberry）で、ヤマハの作曲ソフトやキーボードにサンプル音源として収録されていました。この楽曲が広く知られるようになったきっかけは、高校野球の応援曲として使用されるようになったことです。

高校野球応援曲としての広まり

特に、智辯学園和歌山高校吹奏楽部が、この曲を応援曲、特にチャンステーマとして使用し始めたことが、一般に広く知られるきっかけとなりました。当時の吹奏楽部顧問であった吉本英治氏が、毎年甲子園に出場する野球部の応援曲のネタ切れに悩んでいた際、偶然この曲を耳にし、原曲よりもアップテンポなアレンジを施しました。このアレンジによって、「押せ押せムード」が生まれるように工夫されたと言います。

2000年の第82回全国高等学校野球選手権大会で、智辯和歌山高校が優勝した際にこの曲が演奏されていたことから注目を集め、以降、「ビッグイニングを演出する曲」として「魔曲」の異名で呼ばれるようになりました。

「魔曲」としての演出

智辯和歌山高校では、この曲を「魔曲」として効果的に演出するために、演奏のタイミングを意図的に調整しています。基本的には「8回以降、得点圏に走者が進んだ場面」に限定して演奏し、応援部と吹奏楽部がトランシーバーで連携を取り合い、開始のタイミングを綿密に検討しています。この背景には、応援団の振り付けが激しく、「1イニングずっと『ジョックロック』だと非常に疲弊してしまう」という事情もあるようです。ただし、まれに7回までのチャンス時に演奏されることもあり、2019年8月13日の第101回全国高等学校野球選手権大会2回戦、対明徳義塾戦では、7回に用いられ、この際に智辯和歌山高校は1イニング3本塁打の大会タイ記録を達成しました。

また、2023年8月13日の第105回大会2回戦では、兄弟校の智辯学園高校が徳島商業との試合において、6回表満塁の場面でこの曲を使用し、4点を追加して試合に勝利しました。さらに、2016年の第88回選抜高等学校野球大会では、智辯学園高校が優勝した際にもこの曲が使用され、話題となりました。智辯和歌山高校や智辯学園高校以外でも、高校野球の応援曲として使用されるケースは少なくありませんが、楽譜が市販されていないため、演奏主体によって旋律が微妙に異なり、吉本顧問によると「ネットに上がっているものもだいたいは少しずれている」とのことです。

なお、2018年の第90回記念選抜高等学校野球大会からは、新曲の「ミラクルショット」とチャンステーマを使い分けています。

CD音源化について

『ブラバン!甲子園2』にこの曲を収録する際、企画担当者がヤマハに作曲者について問い合わせましたが、多数のデモ楽曲の一つであったため、当時は作曲者を特定することができませんでした。最終的にヤマハが著作権を持つことで解決したという経緯があります。

関連情報

• - XGフォーマット: ヤマハが開発したMIDI規格の一つ。
• - 応援歌: スポーツの試合などで、選手やチームを応援するために歌われる歌。
• - アフリカン・シンフォニー: 同じく吉本英治氏の編曲により応援曲として知られるようになった楽曲。

外部リンク

• - Yamaha MIDI Files（原曲のMIDIファイルをダウンロード可能）

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