ジョニー・ファメション

ジョニー・ファメション

オーストラリアが誇る伝説的なボクサー、ジョニー・ファメション（Johnny Famechon）は、1945年3月28日にフランスの首都パリで生を受けました。幼少期の5歳で家族と共にオーストラリアへと移住し、この国でボクシングのキャリアを築くことになります。元WBC世界フェザー級王者として、その名はボクシング史に刻まれています。

プロキャリアの幕開けと国内王座

ファメションのプロボクシングキャリアは、1961年6月9日にオーストラリアのリングで始まりました。着実にキャリアを積み重ね、プロ転向から3年後の1964年9月18日、キャリア22戦目にしてオーストラリア国内のフェザー級王座を獲得します。さらに3年後の1967年11月24日には、49戦目となる試合で、より権威のあるイギリス連邦フェザー級王座も手中に収め、世界の舞台を目指す準備を整えました。

世界王座獲得

プロキャリア59戦目を迎えた1968年9月7日、ファメションはついに世界王座挑戦の機会を得ます。相手は当時のWBC世界フェザー級王者、キューバのホセ・レグラでした。両者一歩も譲らない熱戦の末、15ラウンドに及ぶ判定勝を収め、自身初となる世界タイトルの栄冠に輝きました。

伝説となった防衛戦：ファイティング原田との対決

世界王者となったファメションの初防衛戦は、1969年7月28日、日本の偉大なボクサー、ファイティング原田を迎えて行われました。この試合は壮絶な展開となり、ファメションは原田から3度にわたるダウンを奪われるなど、非常に厳しい局面を迎えます。しかし、ファメションは驚異的な粘りを見せ、フルラウンドの戦いを戦い抜きます。結果は15回判定でファメションが勝利し、初防衛に成功しましたが、試合内容から原田の優勢を指摘する声が多く、地元オーストラリアでの判定勝ち（ホームタウンデシジョン）と評価されました。

この論争の決着をつけるべく、両者は翌1970年1月6日に再戦を行います。前回の判定への批判を力に変えたかのように、ファメションはこの試合でより攻撃的なボクシングを展開。白熱した展開の中、14ラウンドに原田から劇的なノックアウトを奪い、見事2度目の王座防衛に成功しました。

王座陥落と引退

ファイティング原田との再戦後、ファメションは1970年4月11日に後のWBA世界バンタム級王者となるアーノルド・テイラーとノンタイトルマッチで対戦し、10回判定勝ちを収めるなど、勢いを保っていました。

しかし、1970年5月9日に行われた3度目の防衛戦で、メキシコの強豪ビセンテ・サルディバルと対戦。激しい戦いの末、15回の判定で惜しくも敗れ、世界王座から陥落しました。このサルディバル戦が、ファメションにとって現役最後の試合となりました。王座陥落とともに、彼はプロボクサーとしてのキャリアに幕を下ろしたのです。

晩年と死去

現役引退後は、公の場に姿を見せることもありましたが、晩年は故郷であるオーストラリアで静かに過ごしました。2022年8月4日、メルボルンにて77年の生涯を閉じました。その華麗なフットワークと巧みな防御技術、そして不屈の闘志は、今なお多くのボクシングファンに語り継がれています。

獲得した主なタイトル

WBC世界フェザー級王座（防衛2度）
イギリス連邦フェザー級王座
* オーストラリアフェザー級王座

ファメションは、そのキャリアを通じてオーストラリアのボクシング界に多大な貢献をし、国民的英雄の一人として記憶されています。特に、ファイティング原田との二度にわたる歴史的な対戦は、両国のボクシングファンにとって忘れられない一頁となっています。

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