ジョブ・カード制度

ジョブ・カード制度の概要

ジョブ・カード制度は、正社員の経験が少ない人々を対象にし、彼らの職務経歴や学習歴、職業訓練の履歴、取得している免許や資格などを取りまとめた「ジョブ・カード」を提供する制度です。このカードは、求職者が就業やキャリア形成に活用できるよう設計されています。本制度は、日本政府の「成長力底上げ戦略」に基づき、2007年に導入され、2008年から本格的に実施されています。

制度の背景

日本の労働市場において、労働力人口が減少しつつある中で、不定期雇用で働く人々が正社員としての採用を希望しても、適切な評価が得られないケースが多発しています。この状況が、正社員としての職務経験の差を拡大し、経済的不平等を助長していることが、ジョブ・カード制度の導入に至った背景の一つです。政府は、制度の普及を促進し、就職支援を強化する方針を掲げています。

ジョブ・カードの構成

ジョブ・カードは、以下の6つの書類から構成されています。

• - 総括表: 全体の業績をまとめたもの。
• - 職務経歴: 過去の就業経歴を明示した内容。
• - 学習歴・訓練歴: 大学や職業訓練所での履修証明書など。
• - 免許、資格: 所持する資格情報。
• - キャリアシート: 自身のキャリア段位を記載するもの（検討中）。
• - 職業能力証明書: 職業訓練修了後に発行される証明書。

制度の活用方法

制度の利用は、ハローワークやジョブカフェなどで登録キャリア・コンサルタントによる相談を受けることから始まります。対象者は、自身の能力や経験を整理し、今後の職業選択について計画を立てます。その後、職業能力形成プログラムや実践型教育プログラムを通じて実際の職場での経験を積むことができ、必要に応じて企業から評価を受けます。評価を受けた後は、再度キャリア・コンサルタントと相談し、新たなジョブ・カードを作成し、就職活動に活用します。

職業訓練の内容

職業訓練は、主に「職業能力形成プログラム」と「実践型教育プログラム」の二つの形態で行われます。前者は企業での実習を伴い、OJTとOff-JTを組み合わせて実施されます。一方、後者は大学などの教育機関での座学中心のプログラムとなります。これらのプログラムには、やる気のある求職者に対して給付金が支給される場合もあります。

今後の展望

ジョブ・カード制度は、現在も多くの求職者に利用されており、その登録者は約25万人に上ります。政府は、2020年までに300万人の登録者を目標としているものの、事業の効果については疑問視され、廃止や統合が検討されています。それでも、制度の基礎は確立されており、今後も人々のキャリア形成に貢献することが期待されています。2022年には「マイジョブ・カード」という新たな仕組みが導入され、さらに使いやすい環境が整うことが見込まれています。

このように、ジョブ・カード制度は、労働市場における課題に対処し、求職者が自らの可能性を最大限に引き出す手助けをすることを目的としています。

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