ジョリー・ロジャー (企業)

株式会社ジョリー・ロジャー（Jolly Roger）は、2007年に設立された日本のエンターテインメント企業です。設立者は映画プロデューサーの大橋孝史氏で、彼は『父と暮せば』や『火垂るの墓』などの名作で知られています。ジョリー・ロジャーは映画制作だけでなく、テレビドラマや舞台の企画・制作、音楽製作、アニメ制作を手がけるなど、エンターテインメント業界に幅広く関与していました。特に、膨大な数の映画やビデオ作品を制作・配給しており、自社制作タイトルは500を超えています。

同社は『湾岸ミッドナイト』『GOTH』『キャプテン』『つむじ風食堂の夜』などの名作を製作・配給してきました。さらに、ビデオドラマやプロモーションビデオも400以上のタイトルを手掛けていました。また、テレビドラマ『鉄道むすめ』の制作をきっかけに、さまざまなメディアでAKB48のメンバーが出演する作品も制作していました。

音楽制作においては、アイドルグループのプロデュースやレコードのリリースも行い、特に『ぱすぽ☆』をインディーズ時代から育て上げ、彼らは2011年にオリコン1位を記録するなどの成功を収めました。また、近年ではアイドル部門においても多くのプロジェクトを推進しており、アイドル軍団セクシー☆オールシスターズや、山梨県の地域活性化を目的とした「ぶどう党」のプロデュースなど、取り組みは多岐にわたっていました。

しかしながら、2010年にはトルネード・フィルムやエースデュースの経営破綻により、債権の焦げ付きが発生し、ジョリー・ロジャーの業績も悪化の一途を辿りました。これにより、支払いの遅延が頻繁に発生し、代表の大橋氏は業界内外で未払い問題で悪名高い存在となりました。また、映画監督や作家からも厳しい批判の声が上がり、特に不払いに対する非難は根強いものでした。

2016年には債権者から破産を申し立てられ、同年9月には東京地裁によって破産手続が開始されました。これに伴い、従業員や所属タレントが一斉に解雇され、業界に衝撃が走りました。大橋氏は「火垂るの墓」での実績を持ちながらも、結果として「不払いの墓」の名を残し、会社自体は2018年に法人格が消滅しました。

結局、株式会社ジョリー・ロジャーは、数々の成功を収める一方で経営の複雑さや資金繰りの不安によって悲劇的な結末を迎えました。彼らが残した作品やプロジェクトは今もなおファンの心に刻まれていますが、経営の不安定さがもたらした影響は業界全体に広がりました。

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