ジョンソン・アグイイ＝イロンシ

ジョンソン・T・U・アグクイ＝イロンシ

ジョンソン・トマス・ウムナクウェ・アグクイ＝イロンシ（1924年3月3日 - 1966年7月29日）は、ナイジェリアの軍人であり政治家です。イボ族出身の将校として、ナイジェリア独立後は国軍最高司令官という要職に就きました。彼はまた、コンゴ動乱の際に国連軍に参加するなど、その能力を発揮した人物としても知られています。

クーデターの鎮圧（1966年1月）

ナイジェリアは独立後、地域間の対立が深刻化し、政治腐敗も蔓延していました。1966年1月15日、政府の腐敗に強く反発したチュクウマ・ヌゼオグ少佐、エマヌエル・イフェアジュアナ少佐、デイビッド・オカフォル少佐らがクーデターを実行し、北部州政府首相のアフマド・ベロ、連邦首相のアブバカール・タファワ・バレワ、西部州首相のチーフ・アキントラが殺害されるという事態に発展しました。

しかし、イロンシ将軍は逮捕を免れ、1月16日には全権を委任され、このクーデターを鎮圧することに成功しました。その後、イロンシ将軍は軍事政権を樹立し、中央集権的な体制を構築していきます。「最高軍事評議会」を設置して自らが国家元首に就任し、東部州軍政官にはチュクエメカ・オジュク中佐、北部州軍政官にはハッサン・カチナ中佐らを任命しました。

二度目のクーデターと死（1966年7月）

イロンシによる中央集権的な統治は、それまでの連邦制下で権益を得ていた地域政治家たちの不満を招き、その不満は次第に蓄積していきました。イロンシ自身、そして彼が属するイボ族に対する反感が高まり、民族間の衝突が激化の一途をたどります。1966年7月28日、北部出身のヤクブ・ゴウォン中佐がクーデターを起こし、翌日、イロンシは視察旅行で訪れていたイバダンで殺害されました。

このクーデターは、北部出身者による東部のイボ族に対する迫害と虐殺をエスカレートさせ、後のビアフラ紛争の引き金となりました。また、イロンシによって東部州軍政官に任命されたオジュクは、後にビアフラ独立運動の指導者となるなど、ナイジェリアの歴史に大きな影響を与えることになります。

イロンシの死は、ナイジェリアの政治史における重要な転換点となり、その後の民族対立と内戦の時代を象徴する出来事として記憶されています。

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