ジョン・アトキンソン・ホブソン

ジョン・アトキンソン・ホブソンの人物像と業績

ジョン・アトキンソン・ホブソン（1858年7月6日 - 1940年4月1日）は、イギリス出身の著名な経済学者です。彼は特に帝国主義を批判したことでも知られ、講師や著述家として広く名を馳せました。また、日本語では「ホブスン」として知られています。彼の業績と影響は、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

経歴

ホブソンはイギリス・ダービー市で生まれ、1880年から1887年までオックスフォード大学で学びました。彼の経済学の探求は大学卒業後に本格化し、特に影響を受けたのはジョン・ラスキンやソースティン・ヴェブレンでした。ホブソンはまた、ハーバート・スペンサーの社会学にも多くの影響を受けたことを、自伝『異端の経済学者の告白』で述べています。

ボーア戦争前、彼は『マンチェスター・ガーディアン』の通信員として南アフリカに渡り、セシル・ローズの支配や現地住民の問題を観察しました。この観察は後に彼の著作『帝国主義論』（1902年）に反映されます。ホブソンはボーア戦争に反対し、第一次世界大戦中はイギリスの中立を支持しました。自由党に所属していましたが、戦後に脱党し、労働党には加入しませんでしたが独立労働党に協力しました。

1889年にはロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの講師として任命されますが、彼の著作『産業の生理学』が大学当局に忌避され、講師職は撤回されました。それ以降、ホブソンは大学教授になることはありませんでしたが、『ネイション』誌に寄稿し、アメリカ合衆国のブルッキングス研究所で講義を行うなど、国際的に活動を展開しました。特に、彼のアメリカでの活動はフランクリン・ルーズベルトのニューディール政策に影響を与えたと言われています。晩年にはマンチェスター大学から名誉博士号が授与されました。

思想・業績

ホブソンの経済学的功績は大きく三つの点に分けられます。

1. 厚生経済学の確立: ホブソンは経済理論を厳格な数学的手法に基づく古典派経済学から批判し、社会福祉に重きを置く厚生経済学の視点を早くから取り入れました。彼は経済が社会的な問題を解決する手段として機能すべきであると考えていました。

2. 富の不公平な分配の指摘: 富裕層の過剰貯蓄と労働者の過少消費の現象を分析し、富の不均等な分配について強調しました。この論は後にジョン・メイナード・ケインズによって「有効需要」の概念として認められ、景気変動の理解に寄与しました。

3. 帝国主義の経済的分析: ホブソンは帝国主義の背後にある経済的動機を、過剰生産によって蓄積された資本が植民地への投資に向かうという観点から分析しました。彼の考察は、ルドルフ・ヒルファディングやローザ・ルクセンブルク、ウラジーミル・レーニンといった社会主義者たちに影響を与えました。

主な著作

ホブソンの著作の中で特に重要なものには、次のようなものがあります。

• - 『貧民問題』（1897年）
• - 『デモクラシーの本領』（1919年）
• - 『富の研究』（1922年）
• - 『失業経済学』（1930年）
• - 『帝国主義論（上・下）』（1930年）
• - 『現代経済恐慌と資本主義の将来』（1933年）

彼の著作は、現代経済学や社会学における重要な基盤を築き、多くの学者に引き継がれています。

まとめ

ジョン・アトキンソン・ホブソンは、経済学の発展に寄与しただけでなく、社会的な問題を常に意識し、理論的な枠組みを提供しました。彼の思想は、今でも現代の経済学に影響を与え続けています。

もう一度検索