ジョン・アースキン (第23代マー伯)

第23代マー伯爵ジョン・アースキン：激動の時代を生きたスコットランド貴族

第23代マー伯爵ジョン・アースキン（1675年 - 1732年）は、17世紀後半から18世紀前半にかけての激動の時代を生きたスコットランドの貴族、政治家です。彼は、その時々の情勢に応じて主義主張を変えることから「浮動のジョン（Bobbing John）」とも呼ばれました。

生涯

1675年、第22代マー伯爵チャールズ・アースキンの息子として生まれたジョンは、1689年に父の死により爵位を継承しました。1697年にはスコットランドの枢密顧問官に列せられ、1707年のイングランドとスコットランドの合同（合同法）を支持し、その委員の一人を務めました。合同後、グレートブリテン王国の貴族代表議員として貴族院に議席を保有するとともに、グレートブリテン王国枢密顧問官にも列しました。

政治的には、当初はホイッグ党とトーリー党の間を揺れ動いていましたが、1705年から1709年、そして1713年から1714年にかけて、トーリー党政権下で新設されたスコットランド担当大臣を務めました。

しかし、1714年にアン女王が崩御し、ジョージ1世が即位すると、ホイッグ党が政権を掌握。マー伯はスコットランド担当大臣を解任されました。これに不満を抱いたマー伯は、ジャコバイト（ステュアート家の王位復古を支持する人々）となり、ジェームズ老僭王を支持する意思を表明しました。

1715年、マー伯は独断でジャコバイト蜂起を組織し、自ら軍を率いてパースを占領するなど、一時的にスコットランドの大部分を制圧しました。老僭王からはジャコバイト貴族としての爵位「マー公爵」を与えられました。

しかし、同年11月13日のシェリフミュアの戦いで、政府軍（オランダ軍の支援を受けたアーガイル公の軍）と対峙したものの、決定的勝利を収めることができませんでした。この戦いの後、政府軍が増強されるにつれてジャコバイト軍は次第に瓦解。老僭王とともにフランスへ亡命しました。

1716年、マー伯は議会によって爵位と財産を剥奪されました。その後、老僭王とともにフランスからも追放され、イタリアへ逃れましたが、1717年にはスウェーデン国王カール12世の支援を受けて再度スコットランドへ侵攻する計画を立てました。しかし、この計画は事前に露見し、失敗に終わりました。

その後も、老僭王からジャコバイト貴族としての爵位を与えられましたが、ジャコバイト派の間でも徐々に信用を失い、1724年には老僭王への協力を停止。1732年5月、ドイツのアーヘンで失意のうちに亡くなりました。

爵位と栄典

マー伯は、その生涯において数多くの爵位を保持しました。しかし、1716年の議会決議により、本国の爵位は剥奪されています。

継承した爵位
第23代マー伯爵
第6代マー伯爵
第11代アースキン卿

ジャコバイト爵位
初代マー公爵（スコットランド）
初代アースキン侯爵
初代キルドラミー伯爵
初代ゲイロック子爵
初代アロア卿
初代マー伯爵（イングランド）
初代マー公爵（アイルランド）

シッスル勲章勲爵士。

家族

マー伯は、2度の結婚をしました。

最初の妻である第7代キノール伯爵トマス・ヘイの娘マーガレットとの間に、長男トマス・アースキン（後の庶民院議員）を儲けました。

2番目の妻である初代キングストン＝アポン＝ハル公爵エヴリン・ピアポントの娘フランセスとの間に、娘フランセス・アースキンを儲けました。彼女の息子であるジョン・アースキンは、後にマー伯位の回復を認められました。

まとめ

ジョン・アースキンは、その政治的な変節とジャコバイト蜂起への参加によって、毀誉褒貶相半ばする人物です。しかし、彼の生涯は、当時のスコットランド、そしてイギリスの政治情勢を色濃く反映しており、歴史を考察する上で重要な役割を果たしています。

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