ジョン・ウェスレー

ジョン・ウェスレー：信仰の革新者

ジョン・ウェスレー（John Wesley）は、18世紀のイングランドにおける重要な宗教的指導者であり、メソジスト運動を創始したことで知られています。彼は1703年に生まれ、1791年に亡くなるまで、信仰の覚醒に多大な影響を与えました。この運動は、プロテスタントの一派としてアメリカ合衆国やヨーロッパ、アジアで広まり、多くの信者を抱えるようになりました。特にアメリカでは、プロテスタント教会の中で第2位の勢力を誇ります。ウェスレーの教えは、聖化を重視し、『キリスト者の完全』を訴えることに集約されます。この思想は、ウェスレー派のメソジストやホーリネス運動に引き継がれていきました。

初期の経歴と信仰の探求

オックスフォード大学で神学を学んでいたウェスレーは、弟チャールズと共に「ホーリー・クラブ」という学生グループを設立しました。このグループは、精神的な生活を律することを目的としたものであり、後にメソジスト運動の特徴でもある日課の体系（メソッド）の基盤となりました。卒業後、ウェスレーは国教会の司祭となり、アメリカ植民地での宣教に意欲を燃やしましたが、実際には期待した成果を得ることができず、帰国しました。

この時期、ウェスレーは厳格な戒律主義に基づく信仰に苦しんでおり、自己の信仰を確信できずにいました。しかし、1738年にボヘミアの宣教師から受けた影響を受け、ルター派の教えを通じて彼は回心します。彼は自らの罪深さを猛省し、キリストの自己犠牲によって救われていることを確信しました。この経験が、後の信仰覚醒運動の出発点となります。

メソジスト運動の立ち上げ

ウェスレーは、信仰の重要性を広めるために辻説教を行い、多くの信者を集めました。しかし、国教会側からの反発が強く、彼は迫害に直面しました。かつて国教会の礼拝に参加していた信徒たちも、次第に独自の礼拝を持つようになります。ウェスレーは鉄道のない時代に、馬に乗って各地を巡り、野外での説教を通じて信徒たちに神の言葉を伝えました。彼の情熱的なメッセージは、多くの人々の心を打ちました。

教会の枠組みと独立

ウェスレーは、国教会との関係が次第に悪化する中、メソジスト運動のために自身の教会の構築を模索しました。彼は「長老」としての立場から信徒伝道者に按手礼を授けることを望んでいましたが、国教会の監督にはこれを認めてもらえませんでした。そのため、ウェスレーはアメリカにおいてメソジスト監督教会を組織し、イングランド国教会から独立させることに成功しました。彼は「長老」としての立場を活かし、アメリカの信徒に対して按手礼を施し、聖礼典を執行しました。これにより、アメリカのメソジストは、組織的にも神学的にもイングランド国教会から独立した教会として成長しました。

信仰と思想の遺産

ウェスレーは信仰において国教会と対立しつつも、イギリス国王に忠誠を誓い、国家政策に協力的でした。彼は医療にも関心を持ち、特に電気ショック療法を実践し、多くの人々に施術を行っていました。彼の考えを伝える著作には『キリスト者の完全』などがあり、その内容は信仰の深化と社会奉仕を包括しています。ウェスレーの影響は、メソジスト教団の創立にとどまらず、各国に広がり、さまざまな教派が彼の教えを引き継いでいます。彼の教えは、今なお多くの人に信仰の道を示し続けています。

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