ジョン・エンブリー

ジョン・フィ・エンブリー（John Fee Embree）

概要

ジョン・フィ・エンブリー（1908年8月26日 - 1950年12月22日）は、アメリカの人類学者で、日本を中心に研究を行ったことで知られています。彼はイェール大学の教授としてキャリアを築いていましたが、交通事故で命を落としました。エンブリーの研究は、アメリカの人類学の中でも特に日本の社会についての深い洞察を与えました。

経歴

エンブリーはコネチカット州ニューヘイブンで生まれました。学術の道を志した彼は、1932年にハワイ大学で学士号を取得、その後1934年にはトロント大学で修士号を、さらに1937年にはシカゴ大学で博士号を取得しました。博士論文の研究過程では、熊本県須恵村でのフィールドワークを行い、その成果を1939年に発表しました。この著作『須恵村：A Japanese Village』は、当時の日本の農村社会を詳細に描写したもので、エンブリーの代表作とされています。

彼はまた、アメリカ陸軍の民政訓練学校で准教授として、戦時中には日本に関する地域研究の指導を行いました。1948年から1950年にかけてはイェール大学で教育に従事しましたが、その間にタイ社会に関する研究を深めました。

日本滞在

エンブリーは日本への滞在経験が豊かで、最初の訪問は1926年に行われました。1932年にはハワイ大学卒業後に日本を訪れ、1935年には妻と娘とともに横浜に渡りました。須恵村での研究を行う前に、彼は日本各地を訪れて調査地を探すにあたり、著名な学者たちと意見を交わしました。調査は非常に体系的に行われ、須恵村で1年間滞在し、フィールドワークを続けました。

日本における評価

エンブリーの研究は、当時の日本文化に対する独自の視点を持っていました。彼は村の生活を観察する際、当時の日本人と同じ目線で捉えることを心掛けました。このアプローチが新しくなかったことから、戦後の日本における共同体批判に影響を受け、彼の作品はあまり広まらなかったという見方が存在します。それでも、彼の調査は高く評価され、特に『須恵村』は日本研究者必読の文献とされています。

評判の高い彼の作品は、エンブリーが観察した日本の村の生活を生き生きと描写し、日本の農民への理解を深める手助けをしました。彼に意見を述べた鈴木栄太郎は、その観察力を大いに称賛しつつ、エンブリーの記録が科学的な整理に欠ける点を指摘しました。

著作

エンブリーの作品には、次のような著作が含まれています。

• - Suye Mura: A Japanese Village (1939)
• - Acculturation Among the Japanese of Kona, Hawaii (1941)
• - The Japanese (1943)
• - The Japanese Nation: A Social Survey (1945)
• - Ethnology: A Visit to Laos, French Indochina (1949)

また共同出版として、1944年には『Japanese Peasant Songs』、1950年には『Bibliography of the Peoples and Cultures of Mainland Southeast Asia』があります。エンブリーの研究は今日でも多くの学者に引用され、彼のフィールドワークの成果は日本の人類学研究において重要な足跡を残しています。

最後に

エンブリーの人生は短かったものの、彼の研究は今なお日本社会を理解するための重要な資料として位置づけられています。彼の業績は、他の文化との比較を通じて自文化を見つめ直すための貴重な観点を提供してくれます。

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