鈴木栄太郎

鈴木栄太郎（1894年9月17日 - 1966年9月20日）は、日本の社会学者であり、農村社会学と都市社会学の分野で大きな足跡を残しました。長崎県壱岐島に生まれ、東京帝国大学文学部を卒業後、京都帝国大学大学院で米田庄太郎に師事し、社会学の研究を深めました。

学歴と職歴

鈴木栄太郎は、長崎県立壱岐中学校、第一高等学校を経て、1922年に東京帝国大学文学部を卒業。その後、京都帝国大学大学院に進み、社会学研究に邁進しました。1925年からは岐阜高等農林学校で教鞭をとり、1942年には京城帝国大学助教授に就任しました。戦後の1947年には北海道大学教授となり、教鞭をとる傍ら、1946年にはGHQの民間情報教育局顧問も務めました。北海道大学退官後は、東洋大学教授（1958年～）、和光大学教授（1965年～）を歴任し、後進の育成に尽力しました。1966年、その生涯を閉じました。

研究内容

鈴木栄太郎の社会学研究は、農村社会学と都市社会学の二つの分野において、それぞれ体系的な理論を構築し、両分野の発展に大きく貢献しました。特に、農村社会学においては『日本農村社会学原理』（1940年）、都市社会学においては『都市社会学原理』（1957年）を著し、それぞれの分野における方法論を確立しました。

彼は、農村における人々の生活関係の積み重ねの中に、「自然村」という概念を見出しました。これは、行政的な区画である「行政村」とは異なり、人々の日常的なつながりによって形成される共同体を指します。都市においては、社会的交流の「結節機関」の集中、累積の中に都市の本質を求めました。そして、この結節機関によって連結される村落と都市全体が、国民社会を形成すると論じました。また、シカゴ学派の都市社会学に対して批判的な立場をとっていたことでも知られています。

著作

鈴木栄太郎は、その研究成果を数多くの著作として発表しました。

単著

『農村社会学史』（刀江書院、1933年）
『日本農村社会学原理』（時潮社、1940年）
『朝鮮農村社会踏査記』（大阪屋号書店、1944年）
『日本農村社会学要論』（時潮社、1949年）
『都市社会学原理』（有斐閣、1957年）
『国民社会学原理ノート』（1970年）
『鈴木栄太郎著作集』（全8巻、未來社）


翻訳

ハーバート・スペンサー『個人対国家――諸科学の分類・社会有機体』（社会学研究会、1923年）
* レオナルド・ホブハウス『国家の形而上学的学説』（不及社、1924年）

これらの著作は、その後の社会学研究に大きな影響を与えました。鈴木栄太郎は、農村と都市という異なる空間における社会現象を分析し、それらの相互関係を解明することで、社会全体の構造を理解しようとしました。彼の業績は、現代社会学の基礎を築いたと言えるでしょう。

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