ジョン・カーロス

ジョン・カーロスの経歴と影響

ジョン・カーロス（John Wesley Carlos）は、1945年6月5日にニューヨーク市ハーレムで生まれたアメリカ合衆国の陸上競技選手です。彼は1968年のメキシコシティーオリンピックに出場し、男子200メートル競走で銅メダルを獲得しました。その成績は、ただの金メダルを超え、彼自身だけでなく、社会的に大きな影響を与えました。

入賞の背景

カーロスは、1967年に開催されたパンアメリカン競技大会の200mを制覇しました。また、同年には60ヤード（5秒9）、220ヤード（20秒2）の世界記録を樹立するなど、彼の足はすでに世界での影響力を増していました。1968年のオリンピック選考会では200mで19秒92という自己新記録を樹立しました。その成績は当時の世界記録保持者トミー・スミスを打ち破るものであり、彼の才能と努力が明らかにされた瞬間でした。ただし、カーロスが使用したスパイクは公認されていないタイプだったため、この記録は公式には認められませんでした。それでも、彼のパフォーマンスは世界的なスプリンターの実力を証明するものでした。

メキシコシティーオリンピックでの出来事

カーロスは1968年のメキシコシティーオリンピックに出場し、男子200メートル競走で銅メダルを獲得しました。このオリンピックでは、彼はピーター・ノーマンと共に人権を求めるオリンピック・プロジェクト（OPHR）という運動の中心的存在となりました。彼らは、表彰台で国歌が流れる中に黒い手袋をかぶせた拳を掲げる「ブラックパワー・サリュート」を行いました。この行動は、アメリカにおける黒人差別に抗議するもので、後に世界中で議論を呼ぶことになりました。

IOCの会長アベリー・ブランデージは、彼らの行動を政治的な発言であるとし、スミスとカーロスをアメリカ選手団から排除し、選手村への立ち入りを禁止しました。しかし、その一方で、彼らの勇気ある行動を支持する意見も多くありました。賛同者たちは、カーロスが表現した人権の意義を賞賛し、その行動が持つ重要性を理解しました。

後のキャリア

1969年、カーロスは選手としてのキャリアのピークを迎えます。その年には、100ヤードで9秒1の世界タイ記録を樹立し、全米体育協会（AAU）220ヤードのチャンピオン、全米学生選手権（NCAA）の100mと220ヤードでの優勝を果たしました。さらに、4×110ヤードリレーではカリフォルニア州立大学サンノゼ校を優勝に導くなど、陸上界での地位を確立しました。

その後、カーロスはプロフットボールにも挑戦し、1970年のNFLドラフトでフィラデルフィア・イーグルスから指名を受けましたが、膝の怪我により1年でチームを去ることになります。また、カナディアン・フットボール・リーグのモントリオール・アルエッツとトロント・アルゴノーツにも在籍しましたが、アメリカンフットボール界でもその存在感は印象的でした。

結論

ジョン・カーロスのキャリアは、スポーツ界における人権の問題を提起する重要なものでした。彼の勇気ある行動は、ただのアスリートという枠を超え、歴史に名を刻む存在となったのです。このような彼の影響は今もなお、スポーツ界だけでなく広く社会全体に波及し続けています。

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