ジョン・キャンベル (初代コーダー男爵)

初代コーダー男爵ジョン・キャンベル：生涯、政治活動、領地経営

初代コーダー男爵ジョン・キャンベル（1755年4月24日 – 1821年6月1日）は、イギリスの政治家、貴族であり、スコットランドとウェールズに広大な領地を持つ地主でした。1777年から1796年まで庶民院議員を務め、その生涯を通じて様々な政治的立場を取りました。

生い立ちと教育

ジョン・キャンベルは、プライス・キャンベルとサラ・ベーコンの長男として1755年に生まれました。イートン・カレッジで教育を受けた後、ケンブリッジ大学クレア・カレッジに進学し、1777年にM.A.の学位を取得しました。彼はスコットランドの家系でしたが、ウェールズとイングランドで育ち、青年期にはスコットランドについてほとんど知りませんでした。1768年に父が、1777年に祖父が亡くなると、莫大な遺産と領地を相続しました。

庶民院議員としての活動

1777年、ジョン・キャンベルはネアーンシャー選挙区の補欠選挙で無投票当選し、庶民院議員となりました。当初はノース内閣を支持し、アメリカ独立戦争における政府の政策を擁護しました。しかし、政治情勢の変化とともに、彼は様々な立場を取るようになります。ノース内閣倒壊後はノース卿を支持し、シェルバーン伯爵内閣期にはアメリカ独立戦争の予備講和条約に反対しました。フォックス＝ノース連立内閣期には内閣を支持しましたが、チャールズ・ジェームズ・フォックスの東インド法案には投票しませんでした。小ピット内閣期には中立の立場を取りましたが、後にホイッグ党に接近し、摂政法危機では野党ホイッグ党に同調しました。

フランス革命戦争をめぐっては、ポートランド公爵派ホイッグ党の一員として政府を支持する一方で、奴隷貿易の廃止を支持しました。1790年代にはペンブルックシャー選挙区やカーマーゼンシャー選挙区への鞍替えが噂されましたが、1796年にコーダー男爵に叙爵されたことで実現しませんでした。

コーダー男爵叙爵とその後

1796年、ジョン・キャンベルはグレートブリテン貴族であるコーダー男爵に叙されました。叙爵後も彼は政治活動を続け、1797年にはフランス軍の小部隊がペンブルックシャーに上陸した際、民兵隊を率いてこれを降伏させるという功績を挙げました。1801年からは再び野党ホイッグ党に転じ、1806年に挙国人材内閣が成立すると伯爵への昇叙を目指しましたが、実現しませんでした。しかし、その後も自身の影響力が及ぶ選挙区で選挙活動を続け、ホイッグ党候補を支持しました。

1821年6月1日、ジョン・キャンベルはバースで亡くなり、バース寺院に埋葬されました。爵位は長男のジョン・フレデリックが継承しました。

領地管理

コーダー男爵は、スコットランドのネアーンシャー、ウェールズのペンブルックシャー、カーマーゼンシャーに広大な領地を持っていました。ネアーンシャーでは不在地主化が進んでいましたが、領地改良も行われ、借地人の封建的な義務が廃止されました。ペンブルックシャーでは、スタックポール・コートを継承した後、大規模な美化計画を実施し、ボシャーストン湖を作り出しました。また、ミルフォード・ヘイヴン総督を長年務め、民兵隊への関わりを持ち続けました。カーマーゼンシャーでは、ジョン・ヴォーンから地所を継承し、選挙区における影響力を得ました。

私生活と家族

ジョン・キャンベルは、1783年からイタリアを旅し、美術品の収集を行いました。1789年には第5代カーライル伯爵の娘イザベラ・キャロライン・ハワードと結婚し、2人の息子をもうけました。長男のジョン・フレデリックは後に第2代コーダー男爵、初代コーダー伯爵となり、次男のジョージ・プライスはシャーロット・ガスコインと結婚しました。

初代コーダー男爵ジョン・キャンベルは、政治家、貴族、地主として多岐にわたる活動を行い、その生涯はイギリスの歴史に深く刻まれています。

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