ジョン・サーティース

ジョン・サーティースのレーシングキャリア

ジョン・サーティース（John Surtees, CBE）は、1934年2月11日にイギリスで誕生し、2017年3月10日に逝去しました。彼は独特な経歴を持つレーシングドライバーで、二輪の世界選手権と四輪のフォーミュラ1の両方で世界チャンピオンに輝いた、唯一の人物として名を知られています。愛称は「ビッグ・ジョン」や「怖いもの無しのジョン」で、特に日本では「ホンダF1」の初期にドライバーとして活躍し、多くのファンから支持を受けました。

2輪での歴史

サーティースのレーシングキャリアは、父親の操縦するサイドカーの助手役から始まります。その後、彼はソロの2輪車に乗り換え、ビンセントやノートンといったブランドで経験を積みました。1956年にはMVアグスタに移籍し、350ccクラスや500ccクラスで数々のタイトルを獲得しました。

特に1958年から1960年にかけては、最高峰の500ccクラスでのチャンピオンに輝き、通算7つの世界タイトルを手にしました。イタリア語もマスターした彼は、イタリアで「イル・グランデ・ジョン」として人気を獲得しました。

4輪への転向

二輪での成功を経て、サーティースは20代半ばで四輪に転身します。1960年代に入ると、ロータスチームでF1レギュラードライバーとしてのキャリアをスタートしましたが、同チームには名ドライバーのジム・クラークがいたため、1961年にヨーマン・レーシングに移籍しました。ここでの活躍を経て、1963年にはフェラーリに加入し、マシン開発にも貢献しました。

サーティースはドイツGPでF1初勝利を挙げ、翌1964年には世界チャンピオンの座に輝きました。最終戦ではクラークの不運により追い抜く形でタイトルを獲得し、その結果は非常に劇的でした。しかし、チーム内の問題や国粋主義者たちに孤立し、1965年にはチャンピオン防衛に失敗し、さらには怪我を負う結果となりました。

フェラーリとの別れと新たな挑戦

1966年にはベルギーGPで勝利した後、ル・マン24時間レースに参加するもチーム内の対立からフェラーリを去ります。以降、北米のカナディアン-アメリカン・チャレンジカップで活躍し、初代チャンピオンに輝きました。

続いてホンダF1に移籍しましたが、ホンダのエンジンの強力さと車体の重さの問題があり、サーティースはローラのシャシーにホンダのエンジンを積んだ「ホンドーラ」を開発しました。1967年のイタリアGPでは、そのホンドーラを駆り、ホンダのF1活動における最後の勝利を挙げました。

1970年には独自のチームを立ち上げますが、レース界からは次第に距離を置くようになりました。チーム・サーティースも1978年にF1から撤退します。

引退後の活動

引退後はホンダ車の販売ディーラーを営む時期もあり、2003年にはMotoGP殿堂入りを果たしました。サーティースは自らの技術を生かし、往年の名車のライダーやドライバーとして活動し、クラシックマシンの愛好家である彼は日本のイベントにも参加しました。

2008年には新たに「マクストラ・レーシング」を設立し、GP125クラスに出場を目指しましたが、チームは多くの問題に直面し、開幕直前にチーム名を改称するも成績は振るわずに退場する結果となりました。息子のヘンリー・サーティースもレーシングドライバーとして活動していましたが、2009年に事故で若くして命を落としてしまいました。

サーティースは2017年に呼吸器疾患で入院し、同年の3月にその生涯を閉じました。彼の多様なキャリアと愛される人柄は、その後のレーシング界にも多大な影響を与え続けています。

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