ジョン・ダドリー (初代ノーサンバランド公)

初代ノーサンバランド公爵ジョン・ダドリー：栄光と没落の生涯

ジョン・ダドリー（1502年 - 1553年）は、テューダー朝のイングランドにおいて、その政治手腕と軍事的な才能で頭角を現し、ノーサンバランド公爵にまで上り詰めた人物です。しかし、その権勢は長くは続かず、メアリー1世の即位を阻止しようとしたことが原因で、大逆罪に問われ処刑されました。

生い立ちと初期のキャリア

ジョン・ダドリーは、ヘンリー7世の財政官であったエドムンド・ダドリーを父として生まれました。しかし、父はヘンリー8世の即位後すぐに失脚し、ジョンが幼い頃に処刑されました。苦難の幼少期を過ごしたジョンでしたが、ヘンリー8世の宮廷に出仕し、廷臣として着実にキャリアを重ねていきました。フランスへの上陸作戦での活躍を認められナイトに叙任されるなど、軍人としても才能を発揮しました。

サマセット公失脚と国政掌握

ヘンリー8世の死後、幼いエドワード6世が即位すると、サマセット公エドワード・シーモアが摂政として国政を主導しました。しかし、ジョン・ダドリーはサマセット公の政策を批判し、権力闘争の末に失脚させました。その後、ウォリック伯に叙せられ、枢密院議長として国政を掌握し、財政改革やプロテスタント政策を推進しました。

プロテスタント政策の推進

ノーサンバランド公となったジョン・ダドリーは、エドワード6世の信任を得て、プロテスタント政策を推し進めました。聖像破壊の命令や、保守派聖職者の追放、そしてよりプロテスタント的な内容に改正された共通祈祷書を全ての教会に備え付けるよう命じるなど、宗教改革を積極的に進めました。これらの政策は、後のイングランド国教会の基礎を築くことになります。

ジェーン・グレイ擁立と失脚

エドワード6世が病に倒れると、ジョン・ダドリーはカトリックのメアリー王女の即位を阻止するため、ジェーン・グレイを女王に擁立しようと画策しました。しかし、この試みは失敗に終わり、メアリー王女が女王として即位すると、ジョン・ダドリーは大逆罪で逮捕され、処刑されました。ジェーン擁立はプロテスタントを守るためだったものの、結果として自らの命を失うことになったのです。

ジョン・ダドリーの功績と評価

ジョン・ダドリーは、財政改革やプロテスタント政策の推進など、イングランドの発展に貢献した一方で、権力欲のために手段を選ばない人物としても知られています。サマセット公の失脚やジェーン・グレイの擁立など、その行動はしばしば物議を醸しました。しかし、その政治手腕と軍事的な才能は高く評価されており、テューダー朝の歴史において重要な役割を果たした人物であることは間違いありません。

ジョン・ダドリーの生涯は、権力闘争と宗教改革が激しく交錯する時代の縮図であり、その栄光と没落は、歴史に深く刻まれています。

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