ジョン・ダービ

ジョン・ネルスン・ダービの生涯と神学

ジョン・ネルスン・ダービ（John Nelson Darby）は、1800年11月18日にイギリスに生まれ、1882年4月29日に亡くなった神学者であり、賛美歌作家としても知られています。彼は主にプリマス・ブレザレンを組織した一員として、その後の宗教運動に大きな影響を与えました。

生涯の歩み

ダービは1819年にダブリンのトリニティ・カレッジを優秀な成績で卒業し、その後、1822年にはアイルランド大学院で弁護士資格を取得しました。同年、アイルランド教会にて按手礼を受け、ウィックロー教会の牧師としての道を歩み始めました。

しかし、ダービは1827年に国教会制度や教職制度に対する疑問を抱くようになり、国家と宗教の分離を訴えるようになります。そして、これを理由に国教会の牧師職を辞任しました。

1831年には、ジョージ・ウィグラムやベンジャミン・ウィルズ・ニュートンらと共に、プリマス・ブレザレンを組織しました。この運動は、教職制度の否定や毎週日曜日の聖餐の実施、さらには特定の教派に縛られない自由な信仰を目指していました。しかし、しばらくすると内部で教義の違いから分裂が生じました。この分裂により、ダービを中心とする派閥は「ダービ派」と名づけられ、ジョージ・ミュラーらと異なる「エクスクルーシブ（閉鎖的）・ブレザレン」と呼ばれるようになりました。

ダービは、逐語霊感説を信じ、ディスペンセーション主義を基にした聖書解釈を行っています。これは、聖書のメッセージを時代ごとに異なる神の意図として理解する考え方であり、歴史的事象と神の働きを関連付ける視点を提供します。また、彼はカルヴァン主義と敬虔主義の神学を融合させた独自の見解を唱えました。

ダービは、ジョン・ウェスレーの著作『キリスト者の完全』に対しても批判的な立場を取っており、その内容について詳細な分析を加えています。彼の神学的見解や運動は、後のキリスト教界において重要な位置を占めています。

著書と影響

ダービは書籍も多く執筆しており、その中には『ウェスレー「完全」論批判』という作品があります。これは有馬平吉によって翻訳され、1987年にメーカー・レーベルから出版されました。

彼の神学や運動は、多くの信者に影響を与え、現在でも彼の思想を継承する宗派が存在します。ダービの考え方や教え方は、特に聖書の解釈において独自性を持ち、彼の生涯を通じて多くの支持者を得ることとなりました。

結論

ジョン・ネルスン・ダービの生涯と信仰に対する取り組みは、多くのキリスト教信者にインスピレーションを与え続けています。彼の神学的な視点や運動は、今日でも研究や実践の対象となっており、彼の影響はいまだに色あせることがありません。

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