ジョン・バーサ

ハンガリーの首都ブダペストにて、1915年2月6日に生を受けたヤーノシュ・バーサ、ことジョン・バーサ（John Bartha）は、主にイタリア映画界で俳優として活動した。1991年3月7日にその生涯を閉じた。

ジョン・バーサは、1960年代半ばから1970年代にかけて隆盛を極めたマカロニ・ウエスタンにおいて、多くの作品で重要な脇役を担ったことで知られている。彼は主役級の派手さこそないものの、物語の舞台となる町の有力者、軍の士官、あるいは単なる住民といった、リアリティを与える年配のキャラクターを巧みに演じた。その存在感は、作品に深みと説得力をもたらす上で不可欠であった。

特に印象的な出演作として、セルジオ・レオーネ監督の傑作『真昼の用心棒』（1966年）におけるキャラディーン役が挙げられる。主人公の一人であるモーティマー大佐が長年追い求める宿敵として登場し、短い出番ながらも強烈な印象を残した。また、エンツォ・G・カステラッリ監督の戦争アクション『七人の特命隊』（1968年）では、南軍の将校として登場し、その威厳ある風貌を活かした演技を見せた。

イタリアを拠点に活動していたことから、イタリアでロケが行われた海外プロダクションの作品にも出演機会を得た。ブレーク・エドワーズ監督による1963年のコメディ映画『ピンクの豹』にも端役で参加しているが、この作品ではクレジットされていない。

彼のフィルモグラフィは非常に多岐にわたり、マカロニ・ウエスタンを中心に、アクション、戦争、ホラーといったジャンルで数多くの作品に出演している。中には日本で劇場公開された作品もあるが、大部分は日本未公開、あるいはソフト化されていない作品である。

以下に、ジョン・バーサの主な出演作品の一部を挙げる。

『ピンクの豹』(The Pink Panther, 1963年) - クレジットなし
『奴らは俺がやる』(Adios gringo, 1965年)
『奴らに高く吊るされろ!』(Un Dollaro di fifa, 1965年)
『続夕陽のガンマン 地獄の決斗』(Il buono, il brutto, il cattivo, 1966年)
『真昼の用心棒』(Per qualche dollaro in più, 1966年) - キャラディーン役
『リンゴ・キッド』(Il Grande colpo di Surcouf, 1966年)
『南から来た用心棒』(Un dollaro tra i denti, 1966年)
『女王陛下の大作戦』(Colpo maestro al servizio di Sua Maestà britannica, 1967年)
『地獄のノルマンディ』(Dalle Ardenne all'inferno, 1967年)
『拳銃無宿のバラード』(Kidnapping, 1967年)
『さすらいのデスペラード』(Requiescant, 1967年)
『ジャンゴの息子』(Il figlio di Django, 1967年)
『ジョニー・ハムレット』(Quella sporca storia nel West, 1968年)
『三人の無宿人』(I Tre che sconvolsero il West, 1968年)
『熱砂の戦車軍団』(La Calda terra del sesso, 1968年)
『戦場のアウトロー ロンメルを殺れ!!』(Quel maledetto ponte sull'Elba, 1969年)
『荒野の無頼漢』(Giornata nera per l'ariete, 1971年)
『キングと呼ばれた男』(Lo chiamavano King, 1971年)
『自転車紳士西部へ行く』(Sotto a chi tocca!, 1972年)
『ザ・ビッグマン』(Un Uomo da rispettare, 1972年)
『マッキラー』(Il Boss, 1972年)
『華麗なる復讐』(Dio, sei proprio un padreterno!, 1973年)
『サロン・キティ』(Salon Kitty, 1976年)
『人喰族』(Cannibal Ferox, 1981年)

ジョン・バーサは、スター俳優ではないが、その堅実な演技と存在感によって、特にマカロニ・ウエスタンの世界観を豊かに彩った名脇役の一人と言える。彼のキャリアは、イタリア映画の多様なジャンル、特にジャンル映画における脇役俳優の重要性を示している。

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