ジョン・バーナード

ジョン・バーナード - F1レーシングカーデザイナー

ジョン・バーナード（John Barnard、1946年9月26日生まれ）は、イギリスのレーシングカーデザイナーで、主にフォーミュラ1（F1）の分野で広く知られています。彼は、その斬新なデザインと技術革新によってF1界に多大な影響を与え、特にカーボンファイバー製シャーシやセミオートマティック・ギアボックスの導入においては、いずれもF1カーの進化に寄与しました。

初期の経歴

ジョン・バーナードは1960年代にワトフォード工科大学を卒業後、英国GECに入社。1968年にはローラ社にて下級デザイナーとして働き始め、多くのスポーツカー製作に関わりました。この時期に出会ったパトリック・ヘッドとの友情は、彼自身のキャリアに大きな影響を与えました。

1972年にはマクラーレンに加入し、名機M23シャシーの設計などにも携わりました。1975年に登場したヴェルズ・パーネリ・ジョーンズ・レーシングではインディカー用シャーシを設計し、1980年には自身の設計によるシャパラル・2Kがインディ500を制しました。

マクラーレン時代（1980年-1986年）

1980年、バーナードはマクラーレンに入社し、F1史上初となるカーボンファイバー製シャーシのMP4/1を設計。これが製造された際、驚異的な強度と軽量性によりF1のデザインに革命をもたらしました。1983年にはボトルネック形状のサイドポッドを初めて導入し、車体デザインに新たな潮流を生み出しました。

このチームに在籍中、彼は1984年から1986年にかけてドライバーズチャンピオンやコンストラクターズチャンピオンを数度にわたり獲得。マクラーレンにおける成功は、彼のキャリアにおける重要な転機となる出来事でした。

フェラーリ時代（1987年-1989年）

マクラーレンを離れた後、バーナードはフェラーリに招かれ、そこでの業績に期待が寄せられました。加入後、彼は自らのデザインオフィスを設立し、1988シーズンには新たな自然吸気エンジンを搭載したマシンの開発に着手しました。

1989年には、電子制御式ギアシフト機構を初めて導入し、これはサーキットでの競技において多くの効果を発揮しました。この技術は他のチームにも広まり、その成果として同シーズンにいくつかの勝利を収めました。

ベネトン時代（1990年-1991年）

1990年から1991年にかけて、バーナードはベネトンで新たなプロジェクトに取り組みました。彼のデザインとともに、フロントウイングやギアボックスの革新を図った結果、より競争力のあるマシンを仕上げました。特にB191では、初の吊り下げ型フロントウイングを搭載し、以降のF1車両に影響を与えることとなりました。

フェラーリへの復帰（1992年-1996年）

フェラーリに戻ったバーナードは412T1シャシーの設計を開始し、再びタイトル獲得に向けた活動を控えていました。しかし、エアロダイナミクスが重視される時代へシフトし、彼が手がけたマシンは次第に時代遅れとなっていきました。

アロウズ時代と引退

フェラーリを離れた後、バーナードはアロウズF1チームに参加し、新たなマシン設計に携わりましたが、レース界の情勢は厳しく、1999年にはプロスト・グランプリにて技術コンサルタントとしてキャリアを継続しました。 そして、モトGPのテクニカルディレクターとしても活躍しましたが、2005年にレースから退いた後は静かな生活を送ることになりました。

人間関係と影響

バーナードは多数の名ドライバーと関わりを持ち、そのうちの何人かは彼の設計理念に基づくマシンで成功を収めました。また、彼は名ドライバーとの個別の思想や関係性についても多くのエピソードを持ち、特にその高いマシン理解力が評判となりました。

これらの成功と軋轢が絡み合う中で、バーナードはF1における技術的革新の一翼を担い、イギリスのモータースポーツ界にとって欠かせない存在であり続けました。

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