ジョン・フランシス・キャンベル

ジョン・フランシス・キャンベル：多才な探求者、アイラ島のキャンベル

ジョン・フランシス・キャンベル（1821-1885）は、スコットランドのアイラ島出身で、ゲール語で「アイラ島の若きイアン」としても知られる人物です。彼は、政府の要職を務める一方で、地球科学とゲール民俗文化の研究に大きな足跡を残しました。

生涯と業績

キャンベルは、アイラ島領主の家に生まれ、ゲール語を母語として育ちました。エディンバラ大学で地球科学を学びましたが、後に法学部に転部し弁護士資格を取得しました。父親の急逝後、20代で家督を継ぎ、アーガイル公の秘書や王璽尚書次官などの要職を歴任しました。その間、衛生局や地質学協会など科学技術関連の団体の事務局長も務めました。

ゲール民俗研究

キャンベルは、ゲール語が軽視されていた時代に、ハイランド地方や西方の島々に残る伝承・伝説を収集・分析しました。彼は、ゲール語の訓練を受けた調査チームを組織し、各地に派遣することで、民俗学研究の基礎を築きました。彼の著書『西ハイランドの民話集』には、自筆のスケッチが多数挿入されており、画家としての才能も発揮しています。特にドラゴン神話に興味を持ち、その普遍性を探求しました。

地球科学研究

キャンベルは、政府の要職に就きながらも地球科学への関心を失わず、休暇を利用して北アメリカ、アイスランド、グリーンランドなどで地学調査を実施しました。火山と氷河が地殻形成に与える影響について研究し、その成果を『霜と火』として発表しました。また、アメリカでの調査結果をまとめた『アメリカ徒歩旅行』や、世界一周旅行の記録である『私の周遊記』も著しています。

世界一周旅行と日本

1874年、キャンベルは1年間の休暇を取り、世界一周旅行に出発しました。北アメリカで氷河と火山の地殻活動を観察し、日本とセイロンでドラゴン神話の由来を確認し、ジャワで生物の様態を観察することを目的としました。日本には1874年10月に横浜に到着し、江ノ島、鎌倉、箱根などを旅行しました。東京では、工部省測量司用地に住むコリン・アレクサンダー・マクヴェイン宅に滞在し、芝、皇居、銀座などをスケッチして回りました。また、日光への旅行や、御殿山における金星の日面通過観測にも参加しました。中山道を通って京都へ向かい、各地で古美術品を購入しました。

『私の周遊記』の約半分は日本に関する記述であり、当時の日本の様子を知る上で貴重な資料となっています。彼は日本の急速な変化を予感し、イザベラ・バードの日本旅行のきっかけを作りました。

日照計の発明

キャンベルは、衛生局事務局長時代に、日照時間を計測するために太陽光記録計を発明しました。この発明は、後にジョージ・ストークスによって改良され、キャンベル・ストークス日照計として実用化されました。

結論

ジョン・フランシス・キャンベルは、多岐にわたる分野で才能を発揮した人物でした。彼の地球科学や民俗学への貢献は、後世に大きな影響を与え、彼の著書は今もなお貴重な資料として読み継がれています。

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