ジョン・フリッツ

ジョン・フリッツ

ジョン・フリッツ氏は、ミクロネシア連邦の外交官であり、2008年4月より駐日特命全権大使を務めている人物です。1960年5月23日、現在のチューク州にあたるトラック州に生まれました。母語であるチューク語と母国語の英語に加え、日本語にも堪能であるという特筆すべき語学力を持っています。

フリッツ氏の日本との深い関わりは、その生い立ちに遡ります。日系ミクロネシア連邦人の三世として生まれた彼は、幼少期を地元で過ごした後、チューク州の高校を経てアメリカ合衆国カリフォルニア州のモンテビスタ高校で学びました。その後、1979年11月に日本の地を踏みます。この来日は、元プロ野球選手で貿易商を営んでいた伯父の相沢進氏の誘いがきっかけでした。

日本に渡ったフリッツ氏は、翌1980年から東海大学で高等教育を受け始めます。1984年まで教養学部国際学科で、さらに1984年から1987年にかけて政治経済学部経済学科で修学しました。大学での学びと並行して、フリッツ氏は外交の道に進むための実務経験を積みます。1984年から1987年の間、駐日ミクロネシア連邦連絡事務所（現在の大使館の前身）にて実習生として勤務。大学卒業後の1987年から1988年までは、同連絡事務所の契約職員として奉職しました。この時期から、彼は日本におけるミクロネシア連邦代表機関の要としてキャリアを築き始めます。

連絡事務所が大使館となった後も、フリッツ氏のキャリアは順調に進展します。1988年から1998年までの10年間、駐日ミクロネシア連邦大使館の一等書記官を務め、その後1998年から2008年までの10年間は公使の任にあたりました。約20年にわたり大使館の中枢で勤務した後、2008年4月16日、ついに駐日特命全権大使に就任します。この日、皇居において当時の天皇、上皇明仁に信任状を捧呈し、正式に大使としての活動を開始しました。

駐日大使としての活動中、フリッツ氏は様々な重要な場面に立ち会っています。特に彼の日本語能力は、日本側から高く評価されています。2015年12月15日、当時の安倍晋三内閣総理大臣が、日本語で会話できる駐日各国大使らを総理公邸に招いて昼食会を主催しましたが、フリッツ大使もその参加者の一人でした。この昼食会はその後恒例のイベントとなり、フリッツ大使は2017年12月18日の第3回、2020年1月8日の第5回にも参加しています。これは、彼が日本語を駆使して日本政府や国民とのコミュニケーションを積極的に図っていることの証左と言えるでしょう。

他にも、日本国内での活動として、2018年6月5日には自由民主党のインターネット番組「CafeSta」に出演し、ミクロネシア連邦の魅力などを紹介しました。また、2019年10月22日に皇居で行われた今上天皇の即位礼正殿の儀には、デイヴィッド・パヌエロ大統領夫妻と共に参列し、ミクロネシア連邦代表として日本の重要な儀式に立ち会っています。

フリッツ氏は1979年の来日以来、修学、研修、そして一貫して駐日ミクロネシア連邦代表部での勤務を続け、40年以上の長きにわたり日本に居住しています。この長い在日歴と日本語能力を活かし、ミクロネシア連邦と日本との友好関係、相互理解の促進に大きく貢献している外交官です。

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